銀座にひっそり残る、昭和のカウンター@わらじ家

銀座ナインの地下で見つけた『わらじ家』。暖簾をくぐると、そこはカウンターだけの小さな空間。目の前で全ての仕事が完結する、昭和の食堂スタイルだ。磨かれたカウンターと年季の入った椅子、隙間から漂う香りが食欲を刺激する。都会のど真ん中で、この距離感と空気感は貴重だ。

注文したのは「焼肉定食」。皿の上には豚バラと玉ねぎの黄金コンビ。甘辛いタレに絡まった肉は柔らかく、噛むほどに脂の旨味が滲み出る。玉ねぎの甘みがその輪郭をやわらげてくれるあたり、王道のバランス。キャベツの千切りにはオレンジ色のドレッシング、これもまた昭和定食の記号だな。

ご飯は大きめの茶碗にしっかり盛られ、焼肉との相性は言わずもがな。味噌汁はわかめと豆腐のシンプル仕様で、出汁の香りがほっとさせる。小鉢の昆布の和え物とパリッとしたたくあんが、口直しの名脇役。定食の教科書みたいな構成だ。

目の前で繰り広げられるのは、ひとりで切り盛りするお母さんの仕事ぶり。手際よく焼き、盛り付ける動作に、長年の経験と誠実さがにじむ。銀座で肩肘張らず、帰ってきたような気分になれる場所はそう多くない。このカウンターに腰を下ろし、定食を頬張る時間は、まさに都会のオアシスだ。

銀座で日常を取り戻したいなら、ここの暖簾をくぐれ。ご馳走様でした。

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わらじ家
03-3572-5368
東京都中央区銀座8-7 銀座ナイン2号館 B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13149957/