2025.07.11 夜 鮮度と遊び心が共演する、飯塚の本格焼肉@焼肉のMr.青木 焼肉・肉料理 筑豊 10000円〜29999円 ★★★★☆ 福岡・飯塚市に店を構える『焼肉のMr.青木』。名前からはカジュアルな印象を受けるが、実態は肉質で真っ向勝負する本格派。さらに、コース全体にエンタメ性を巧みに織り込み、焼肉を「体験」にまで昇華している。根底にあるのは素材への執念。朝びきどころか、昼びきにまで踏み込む鮮度は、この店を語るうえで欠かせないキーワードだ。 序盤から肉のクオリティを見せつける。オーガニックコーンのポタージュにユッケ、野菜のコンソメジュレ、キャビアを重ねた前菜。甘みと旨味のレイヤーの中で、ユッケの赤身がきっちりと軸を作る。 続いて「馬肉のサムギョプサル風」。ブランド馬肉“大桃領”の赤身は驚くほどしっとり。ナッツや葉野菜で包めば、肉の甘さがより際立つ。韓国スタイルをベースにしながらも、素材のポテンシャルを存分に引き出している。 さらに忘れられないのが「炙りユッケ」。 目の前で軽く火を入れ、仕上げにトリュフオイルと卵黄を絡める。香りのベクトルが一気に広がり、濃厚なコクの中に上品な甘みが立ち上がる瞬間だ。 目でも楽しませる仕掛けとして「三段お重」も登場。一の段には「ブラータチーズと果実の前菜」。無花果やシャインマスカットの甘酸っぱさとチーズのミルキーさが響き合う。二の段には「キムチ盛り合わせ」、三の段には「センマイコブ」。韓国料理の要素をリズムよく挟み込み、コースに緩急をつける構成力が光る。 そして本編、焼き物の時間。「厚切りタン」は包丁の細やかな切れ込みが焼き上がりの旨味を閉じ込め、噛めば肉汁があふれる。「薄切りタン」「タンゲタ」と続き、部位ごとの個性を際立たせる技術に唸る。 赤身の主役は「松阪牛モモ」と「シャトーブリアン」。脂と赤身のバランスが絶妙で、舌の上で静かに解けていく感覚は至福のひと言だ。 ホルモンも抜かりなし。「ハツ脂付き」は脂の甘さが際立ち、シンプルな塩で食べると素材の実力が直球で伝わる。「シマチョウ」の厚みあるぷるぷる感、 「シンジ」「ツラミ」「ヤン」といった希少部位まで揃う徹底ぶり。 そして、このあたりで「サガリ」と「ハラミ」が登場。あまりの香りと旨味に、思わずオンザライス。反射的な幸福感に包まれる瞬間だ。 〆は「盛岡冷麺」。つるりとした喉越しと、澄んだスープの旨味で余韻をきれいに整える。 さらに「トロタク」や 韓国スイーツ「パッピンス」まで抜かりなし。最後の最後まで遊び心を忘れないコースだ。 『焼肉のMr.青木』は、ただ派手な演出をするだけの店ではない。根底にあるのは肉質への徹底したこだわりと、それを最大限に生かす仕込みと構成力。飯塚まで足を運ぶ価値を、はっきりと感じさせる一軒だ。肉を食べる悦びを、存分に体験できる。ご馳走様。 — 焼肉のMr.青木0948-24-5170福岡県飯塚市鶴三緒一本木1117-1https://tabelog.com/fukuoka/A4007/A400702/40009760/