2025.06.11 昼 魚で焼肉!?@焼うお いし川 日本料理 築地・湾岸・お台場 5000円〜9999円 ★★★★☆ “焼く寿司”という逆転の発想は、築地の寿司屋から生まれた——。 『焼うお いし川』は、築地の人気寿司店が打ち出した新たなブランド。2018年、魚の聖地・築地にてスタートしたこの店は、生で食べられる魚をあえて焼くという、シンプルながら大胆なコンセプトで一気に話題をさらった。職人の妙技ではなく、寿司屋がブランドとして仕掛けたジャンル開拓”いう立ち位置が、このプロジェクトを唯一無二のものにしている。 本店のある築地では、定食スタイルを採用。カウンター越しに専用ロースターが配され、注文とともに切り身が焼かれていくライブ感は、まるで“魚版 焼肉”のよう。今回選んだのは、堂々たる看板メニュー「焼きうお定食・最強」(4,900円)。価格にひるむなかれ。目の前で焼かれる脂の音と香り、そして魚の表情の変化を見れば、その価値はすぐに理解できる。 皿に並ぶ魚は、どれもが生で主役を張れる実力派。大トロ、中トロ、のどぐろ、鮪ほほ肉、大穴子、真鯛、鰤。そう、焼く必要のない魚をあえて焼くのがこの店の真骨頂。火を入れることで立ち上がる香ばしさと脂の甘み。焼き加減をシビアに追うよりも、魚そのものの質が焼きによって浮き彫りになっていくのが面白い。 そして、ここで重要なもうひとつの主役——赤酢のシャリ。寿司屋発祥のブランドだからこその矜持がこの酢飯に詰まっている。強すぎず、けれど芯のある酸味が、焼いた魚の脂をしっかりと受け止め、口の中で調和させていく。1枚目よりも2枚目、2枚目よりも3枚目…魚の脂が染みたシャリがどんどん美味くなるという“成長する定食”。 総じて、『焼うお いし川 築地本店』は、寿司屋が「焼く」という新ジャンルに乗り出した結果生まれた、食のアップデートである。握る代わりに焼き、巻く代わりに乗せる。すべての手順が再構築されながらも、根底には寿司屋の目利きと赤酢の魂が脈打っている。この体験、魚好きなら一度は味わうべし。ご馳走様でした。 — 焼うお いし川050-5890-9272東京都中央区築地4-13-5 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1313/A131301/13040408/