2025.06.08 昼 佐野ラーメンの理想と、その先。@麺屋 ようすけ ラーメン・つけめん 小山・佐野・栃木 1000円〜2999円 ★★★★☆ 栃木・佐野市。青竹手打ちによる自家製麺を看板に掲げ、平日でも行列を絶やさない人気店『麺屋 ようすけ』。2012年創業、整理券制を採用するほどの繁盛ぶりで、今や佐野ラーメンの代名詞とも言える存在だ。 「ラーメン」は、その佐野ラーメンの理想形を体現したような一杯。透明度の高いスープは、鶏ガラ、豚ガラ、牛すじ、野菜などから丁寧にとられたもの。あっさりとした見た目に反して、じんわりと骨格ある旨味が広がり、飲み進めるごとにその深みに気づかされる。トッピングもシンプルで、メンマ、チャーシュー、ネギと最小限。スープの滋味深さを邪魔せず、むしろそれを引き立てる構成だ。 青竹で打たれる縮れ麺は、太さにバラつきがあり、食感の変化が面白い。ツルツルと滑らかな喉越しと、モチッとした歯ごたえを併せ持ち、淡麗なスープをしっかりと受け止める。単なる脇役ではなく、主役級の存在感を放っていた。 一方で「背脂生姜醤油ラーメン」は、既存の佐野ラーメンに新たな切り口を加えた進化形とも言える一杯。たっぷりと浮かべられた背脂は甘みとコクを添え、生姜はその重たさをスッと切り裂くように香り立つ。この構成は、新潟ラーメンを想起させるアイテムたち。加えて、醤油のキレと海苔の風味が交互に現れ、味わいの立体感を演出。全ての要素が重なり合いながら、やがて一体となる設計には、完成度の高さを感じた。 手打ちの麺は、もちろんここでも健在。重層的な味わいと絡み合いながら、最後までその存在感を保ち続ける。生姜の刺激、背脂のまろやかさ、醤油のコク、それら全てをしなやかに受け止めるその姿勢には、この店の地力の高さが現れていた。王道と革新、どちらもこの一軒で味わえる。佐野ラーメンの“現在地”を知るには、まさにうってつけの一杯たちだった。 ご馳走様でした。 — 麺屋 ようすけ0283-85-9221栃木県佐野市田島町232https://tabelog.com/tochigi/A0902/A090202/9012617/