2025.06.05 夜 静かに煙る、渋谷・のんべえ横丁の夜@鳥福 焼鳥・焼きとん 渋谷・恵比寿・代官山 5000円〜9999円 ★★★☆☆ 渋谷・のんべえ横丁の一角に佇む『鳥福』。昭和7年創業という老舗で、現在は三代目がその暖簾を守る。再開発が進む渋谷の中で、こうしたレトロな空間が残っているのは奇跡に近い。わずか2坪の店内に並ぶカウンター席、その奥には炭火と職人の所作がある。海外からの観光客にも人気のようで、味わいだけでなく、空間自体が“体験”として成立しているのだろう。 串はショーケースから選ぶスタイルで、「おまかせ」もできるが、ここはやはり「お好み」でいきたい。ささみはしっとり火が入り、ふわふわのつくねは職人の手仕事を感じる。比内地鶏やせせりは噛みしめるほどに旨味が溢れ、砂肝は歯応えと香ばしさが共存。「かわ」はその大ぶりなサイズに驚くが、脂と香ばしさのバランスが絶妙だ。 全体的に味はしっかり濃いめ。ただその分、酒との相性が良く、安定感のある美味しさに着地する。肩肘張らずとも、きっちり満足させてくれる串たちだ。 締めには鶏ガラスープに焼きおにぎりを浮かべた一杯を。希望すれば烏骨鶏の卵も追加できるようで、こうした一手間に店の温度を感じる。鶏の旨味が染み出たスープで、しっかりと胃袋を落ち着けて帰れるのはありがたい。 焼鳥の香りとともに、軒を連ねる飲み屋からこぼれる笑い声。そんな昭和の風情が、今なお生きているのが渋谷・のんべえ横丁だ。『鳥福』はその空気の一部として、変わらぬ佇まいを続けている。味はもちろんだが、この路地の雰囲気ごと楽しむこと。それこそがここを訪れる最大の価値かもしれない。ご馳走様でした。 — 鳥福03-3499-4978東京都渋谷区渋谷1-25-10 のんべい横丁https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13002121/