2025.05.16 夜 進化したしゃぶしゃぶ@PRETTY PORK FACTORY 焼肉・肉料理 新宿・代々木・大久保 5000円〜9999円 ★★★★☆ 焼鳥、ピザ、餃子——近年、大衆料理が次々とグルメ化の波に乗っている。そして、しゃぶしゃぶでその流れに応えようとするなら、この店の名を挙げたい。これまでは、昔ながらの老舗か、チェーン店中心だったしゃぶしゃぶの世界に、新たな価値を提示しているのが『PRETTY PORK FACTORY』だ。「東京肉しゃぶ家」がプロデュースする銘柄豚専門店であり、歌舞伎町という舞台でしゃぶしゃぶをコース料理として再構成してみせる。 いただいたのは「銘柄豚&特選 MIX 豚しゃぶ コース」。まずは「豚トロ煮込み」からスタート。脂の甘みがスッと溶け、ネギと白胡麻の香りがふんわりと広がる。見た目はシンプルだが、豚の滋味がじんわり染みる導入にふさわしい。 続く「一口とんかつとエビフライ」。いずれも衣はサクッと軽く、中心の豚肉はしっとりと火入れされ、エビはぷりっと甘い。たったひと口で、その完成度の高さが伝わってくる。しかも、最高級の海老である車海老。なるほど、昼はとんかつ専門の「katsu プリポー」として営業していると聞けば納得。二毛作だからこそ成立するクオリティであり、しゃぶしゃぶの前菜という役割を遥かに超えた存在感があった。 そして主役の「しゃぶしゃぶ」。銘柄豚は、梅山豚、やごころ黒豚、龍泉洞黒豚、ダイヤモンドポークと錚々たる顔ぶれ。脂の甘さ、赤身の厚み、食感の違い。ひと皿ごとに風味が変わり、豚という食材の奥深さを存分に楽しめる。 その魅力を支えるのが、真昆布と羅臼昆布を18時間かけて水出しした極上の出汁。雑味が一切なく、まろやかな旨味が豚の風味を支えながら引き立てる。つけダレや薬味も豊富に揃い、ポン酢、胡麻だれ、味噌だれから柚子胡椒やネギまで。しゃぶしゃぶにおける“味変”の楽しさもきっちりとアップデートさせる。 〆は「半田素麺」。出汁を吸った麺はしっかりとしたコシがありながら、するりと喉を通る清涼感。 ラストの「苺のシャーベット」は、軽やかな酸味でコースの幕引きを美しく整えてくれる。 しゃぶしゃぶという料理に、どこまでアプローチできるか。その可能性を広げながらも、誰もが親しめる設計に落とし込んでいるのがこの店の強みだろう。銘柄豚を軸に、自由な食べ方とコースの構成力で“今”を語るしゃぶしゃぶ。『PRETTY PORK FACTORY』はその最前線にいる。ご馳走様でした。 — PRETTY PORK FACTORY050-3623-3029東京都新宿区歌舞伎町1-10-3 G3ビル 2Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13254601/