2025.05.07 夜 鶏を“ブランド”で味わう体験@銀座焼とり 京丹波 焼鳥・焼きとん 銀座・新橋・有楽町 10000円〜29999円 ★★★★☆ いまや全国の実力派料理人たちが指名買いする鶏——それが「高坂鶏」。京都・京丹波の自然に育まれたその鶏は、凝縮された旨味としなやかな肉質を併せ持ち、焼き・刺し・煮、どんな技法にも応える“信頼のブランド鶏”として食通の間で定評がある。そんな高坂鶏の魅力を、一切の妥協なく引き出すのが『銀座焼とり 京丹波』。2024年6月、銀座の一角に誕生したこの店は、素材勝負を掲げる焼鳥店だ。 料理の軸にあるのは、鮮度と熟成のバランスを見極めたアプローチ。冒頭を飾るのは「刺身」。高坂鶏を五日間寝かせたという胸肉、もも肉、白レバーの盛り合わせは、どれも驚くほどしっとり。臭みは皆無、熟成の旨味だけが際立つ。 焼き手の矜持が伝わる火入れにも注目だ。「ねぎみ」はジューシーさと香ばしさの共演、 「ささみの藁焼き」はふわっと立ちのぼる香りが鼻孔をくすぐる。 「もも」は野性味ある食感を残しつつ、芯まで火が通る絶妙な焼き。 「つくね」はホクホクとした口当たりの中に、細かく刻んだ軟骨が食感のアクセントとして効いてくる。 串以外にも多彩な一皿が用意されている。 「ワンタンスープ」は鶏出汁の優しい旨味で、まさに胃のウォーミングアップ。 「茶碗蒸し」はブランド卵“高砂の夕日”を使用し、出汁と卵の旨味がとろけるような口当たりに。 「鶏チャーシュー」は中華風の味付けで、香辛料の奥行きが鶏の甘さを引き立てている。 「レバーペースト」はカカオが隠し味として添えられ、濃厚なコクにひと捻りの遊び心が光る。 「ちょうちん」や 「ソリ」、 「手羽先」といった部位の串焼きにも、技の冴えを感じる。 「鴨」などは、香ばしさと脂の甘みがワインを誘う。ちなみに、これも高坂が手がける鴨だ。 〆は「鶏そば」。スープの旨味が深く、コースを通して食べ続けた高坂鶏の余韻を美しくまとめてくれる。 デザートの「苺と柚子のアイス」は、爽やかな酸味で口内をリセットし、最後まで気の利いた演出が続く。 鶏を部位で語ることはあっても、“鶏という食材の違い”に意識を向ける機会は、案外少ない。『銀座焼とり 京丹波』は、高坂鶏という一つの個性を軸に、その奥行きと表情の豊かさを丁寧に見せてくれる。食材に真正面から向き合う姿勢が、焼鳥という料理の枠を少し広げてくれるようだ。 — 銀座焼とり 京丹波050-5593-9557東京都中央区銀座7-2-18 銀座グランベルスクエア 201https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13296134/