2025.04.25 夜 寄せては返す、鮨の波。@鮨 波やし 寿司 中野~西荻窪 10000円〜29999円 ★★★★☆ 高円寺の静かな通り沿い。そこに、ひっそりと暖簾を掲げる『鮨 波やし』がある。 2017年に初訪問して以来、またいつかと願っていたが、久しぶりにその願いが叶った。世間で「安くて美味い寿司はないか」と聞かれるたびに、ふと思い出す一軒。派手な演出もなければ、SNS映えを狙うわけでもない。ただひたすら、誠実に、真っ直ぐに、鮨と向き合う空気がここにはある。品数は多い。しかしどれも過剰な自己主張はせず、寄せては返す波のように、静かに心に余韻を残していく。『波やし』──その名前がこれほど似合う場所もないだろう。 7年の歳月を経ても、その魅力は少しも色褪せない。ここには、時代に流されない強さがある。 まずは、つまみから。 「本鮪、青柳、蛍烏賊、牡丹海老」 「稚鮎、鮪ハラミ、平貝の柱、ひも」 「茶碗蒸し」黒ムツ、帆立、ズワイ蟹 「毛蟹」 「カイノミ」 「カリカリ梅と沢庵」口直し 「蟹味噌炒飯」酢飯ベース 「爆弾」中落ち、納豆、沢庵、烏賊、いくら、海苔。まさに爆弾。 ここから、握り。 「中トロ」 「平目」昆布締め 「小肌」 「赤貝」 「漬け」 「鰯」 「白海老」 「墨烏賊」雲丹乗せ 「穴子」 「巻物」鯵の紫蘇焼きととろたく 「北寄貝」 「黒むつ」 「味噌汁」 『波やし』の魅力を、コストで語るのは本意ではない。だが、これだけの品数とクオリティを、この価格帯で楽しませてくれる鮨屋は、そう多くない。言葉を尽くすよりも、ただ一言、「ありがたい」と伝えたくなる。そりゃ、予約が困難になるのも当然だろう。7年の歳月が証明している。流行りに乗らず、奇をてらわず、ただ良い鮨を、良い空気と共に届ける。その誠実な営みが、今日も『波やし』を作っているのだ。 ご馳走様です。 — 鮨 波やし東京都杉並区高円寺北2-7-11https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13238504/