2025.04.15 昼 にしんそばの原点、京都で味わう食の文化遺産。@総本家にしんそば 松葉 本店 そば 京都市 1000円〜2999円 ★★★☆☆ にしんそばの発祥はどこかご存知ですか? その答えは、京都・四条大橋のたもとに暖簾を掲げる『総本家にしんそば 松葉 本店』。創業は文久元年(1861年)、以来160年以上にわたり、京都の人々と旅人の胃袋を支えてきた老舗です。にしんそばが世に登場したのは明治十五年、二代目・松野与三吉によって発表されたのが始まりとされます。海から遠い京都で、保存食として重宝されていた“みがきにしん”を、そばと掛け合わせるという大胆な発想。その背景には、栄養の調和と満足度を求める、職人の生活知があったそうです。 看板料理「にしんそば(鰊しぐれごはん付)」。 その見た目は、華美な演出とは無縁。けれど、器の中に込められた時間と技術は重く、そして温かい。甘露煮された鰊は箸を入れればすっとほどけ、口に運べばじゅわっと染み渡るような旨味と甘み。この濃密な鰊の風味が、出汁の利いたそばつゆと溶け合い、そばと絡むことで完成形へと昇華されます。単品でも成立する要素たちが、合わさることでより深く、──これぞ老舗のなせる技。 そして添えられる「鰊しぐれごはん」。しっかりと煮含めた鰊が白米に混ざり、噛みしめるたびに滋味が滲む。そばと一緒にいただけば、甘み・塩味・旨味のバランスに体が素直に反応します。まるで鰊のもう一つの表情を見るようで、セットにして正解だったと納得するはず。 松葉のにしんそばは、単なる郷土料理ではない。京都という土地が求め、職人が知恵を絞り、文化として育まれた“京の味”。その一椀に込められた歴史を、ぜひ体験してみてください。ご馳走様でした。 — 総本家にしんそば 松葉 本店075-561-1451京都府京都市東山区川端町192 松林ビルhttps://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26001629/