2025.04.14 夜 ラーメンの器で魚を味わう。@炭火焼濃厚中華そば 奥倫道 ラーメン・つけめん 浜松町・田町・品川 1000円〜2999円 ★★★★☆ 「鯖」「烏賊」「鰯」「鯵」「鮭」──食券機に並ぶメニューは、どこかの定食屋と錯覚してしまう。だがここは、れっきとしたラーメン専門店の『炭火焼濃厚中華そば 奥倫道』。新橋「倫道」を起点に、神田「海富道」、そしてここ芝大門へと展開する、“道系”というジャンルを確立したシリーズである。 最大の特徴は、魚を“出汁”ではなく“素材”として捉えるアプローチ。炭火で焼いた魚を丸ごと使い、骨や肝まで余すことなくペースト状にしてスープに落とし込む。その濃度は、もはや魚のポタージュと言っても過言ではない。焼きの香ばしさと、魚の旨味が一体となって、ラーメンという器に押し寄せてくる。 この日選んだのは「鰯」の一杯。丼の中には潔く、スープと麺のみ。チャーシューや薬味はすべて別皿での提供だ。つまり、まずは鰯と真っ向勝負。レンゲを入れれば、鰯特有の脂の厚みと肝のようなビターな余韻が広がる。苦味やえぐみは丁寧に抑えられ、残るのは力強い旨味だけ。香ばしさと濃度のバランスが美しく、魚好きには堪らない設計だ。 麺は中細ストレート。やや硬めに茹でられた食感が心地よく、スープの粘度とよく絡む。途中で刻み玉ねぎを投入すれば清涼感、炙りネギで香ばしさを強調と、味変の自由度も高い。 『奥倫道』は、“魚の可能性”をラーメンという文脈で最大化しようとする実験場。炭火焼というアナログな技法を、丁寧にスープへと昇華する。一般的な煮干し系や魚介出汁とは一線を画す、独自の進化系。その確かな技術と発想に、今後も期待せざるを得ません。ご馳走様でした。 — 炭火焼濃厚中華そば 奥倫道03-3438-0188東京都港区芝大門2-1-18 GSハイム芝大門 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1314/A131401/13262013/