2025.04.02 夜 寿司の文化に寄り添う@銀座 鮨 み富 寿司 銀座・新橋・有楽町 10000円〜29999円 ★★★☆☆ 銀座の街角に2018年に暖簾を掲げた『鮨 み富』。店主は、池波正太郎も愛したという名店『新富寿し』で22年にわたり腕を磨いた人物。江戸前鮨の仕事とは何か。その根本を、毎日の現場で見つめ続けてきた職人が、自らの看板を掲げて立つ。 江戸前鮨は、もともと江戸時代のファストフード。握り一つでぱっと腹を満たし、さっと席を立つ。今でこそ高級料理の代名詞のようになったが、その根底にあるのは「庶民の料理」だ。だからこそ『鮨 み富』では、おまかせだけでなく、お好みの注文も気軽に受け付けてくれる。つまみと酒をゆっくり楽しむもよし、握りだけでさくっと帰るもよし。客のペースに寄り添うその姿勢に、寿司本来の懐の深さを感じる。 つまみからスタートする構成は、江戸前鮨の粋を穏やかに表現している。素材と季節を映す端正な仕事に、派手な演出はないが、確かな技術の積み重ねが見て取れる。 「蛍烏賊」 「真鯛」「細魚」「赤貝」「鰹」 「平貝」 握りに移れば、シャリの印象が店の姿勢を物語る。米酢ベースのシャリは酸味は穏やかで、小ぶりかつふんわりと握られている。重たすぎず、口に入れた瞬間にほどける設計は、ネタの旨味と香りを先に届けるための下地だ。 「真子鰈」 「墨烏賊」 「トリガイ」 「小肌」 「春子鯛」 「漬け」 「トロ」 「車海老」 「煮蛤」 「ネギトロ」 総じて、派手な“驚き”よりも、熟練の“整い”が際立つ一軒。寿司文化を静かに継承しながらも、客に寄り添う柔軟さを忘れない。銀座で鮨をいただくという行為に、もう一度“自由”を思い出させてくれるような時間だった。ご馳走様でした。 — 銀座 鮨 み富050-5595-9440東京都中央区銀座5-10-11 川島ビル 2Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13224300/