2025.03.29 昼 ふわりとほどける、宮廷のビリヤニ。@インド宮廷料理 Mashal 世界料理(アジア) 大井・蒲田 1000円〜2999円 ★★★☆☆ ショッピングセンターの3階にある『インド宮廷料理 Mashal』へ。 どこか気軽な雰囲気を漂わせながらも、提供される料理にはきちんとした骨格がある。その名の“Mashal”とはヒンディー語で「たいまつ」を意味し、ムガル帝国に端を発する王侯貴族の食文化──いわゆる宮廷料理──の火を絶やさぬよう灯し続けるという意志の表れか。 例えば、「ビリヤニ」はその象徴だろう。 そもそもビリヤニは、もともとムガル帝国の王族たちが宴で楽しんだ格式高い料理で、決して辛さだけを競うような庶民的な炊き込みご飯ではなかった。本来はスパイス、米、肉を何層にも重ね、丁寧に蒸し上げる“ダム・ビリヤニ”という技法を用い、香りと旨味を閉じ込めた料理である。Mashalの「ビリヤニ」もまたその文脈をきちんと踏まえており、ふわっとほどけるバスマティライスの香りがまず心地よく、チキンはしっかりとグレイビーに包まれてしっとりと仕上がる。骨組みに安心感がある。 全体を通して、料理は派手さこそないものの、丁寧につくられている印象が強い。味の強弱が大きく揺れることもなく、きちんと設計された中庸の構成。空間やサービスもカジュアルで、日常に自然と入り込む柔らかさがあり、肩肘張らずに香り高い食事を楽しみたい時にはぴったりだろう。強烈な個性やサプライズはないが、それでも「またあれ食べたいな」と思わせる静かな力がある。 ご馳走様でした。 — インド宮廷料理 Mashal03-6450-0177東京都大田区大森北1-10-14 LUZ大森 3Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1315/A131502/13273658/