2025.03.25 昼 名古屋の老舗鰻が、銀座にやってきた@銀座うなぎノ宮宇 鰻 銀座・新橋・有楽町 10000円〜29999円 ★★★★☆ 名古屋・浄心に本店を構える老舗のうなぎ屋『宮宇』が、銀座に暖簾を掲げた。 創業は明治時代。100年以上の歴史を持つ名店が、銀座の街にどんな一杯を届けるのか。空間設計は杉原設計事務所。洗練された静謐な空間には、老舗の風格がある。設えの細部まで丁寧に作られていて、食前から心が整う。伝統を持ち込みながら、土地の空気に自然に馴染んでいる。肩肘張らず、でも確かに誇らしい一軒だ。 「鰻重御膳」 この日に提供されたのは、三重県松阪産の雌うなぎ。焼きは関西風、つまり蒸さずに直焼きで仕上げる。甘めのタレがしっかり絡むのも、名古屋らしさのひとつだ。ご飯との相性は抜群。特に皮目のゼラチン質には、舌がうっとりするほどのコクがある。身の厚みもしっかりあり、そして何よりその大きさに圧倒される。器の端から端まで、鰻がびっしりと敷き詰められている。口に運ぶたびに、贅沢が重なっていくようだ。ちなみに、このタレは創業以来の継ぎ足し。時間が育てた味が、ご飯の一粒一粒に染み渡る。 添えられる「白焼き」は、茎わさびがアクセントに。脂の旨みと刺激のバランスが絶妙で、口内にクリアな旨みだけが残る。 「うまき」はふわふわの卵で、まさに優しさのかたまり。 「もずく酢」「鮑柔らか煮」「蛸の柔らか煮」「占地と春菊のおひたし」など小鉢の並びも美しく、箸が迷う時間さえ心地よい。 食後の「わらび餅」は、オオノ餅店のもの。とろけるような柔らかさときな粉の香りが、食事の余韻を優しく締めてくれる。食事の最後まで気を抜かないところに、店の矜持がにじむ。 本店に比べると、焼きは少し穏やか。より東京の空気に馴染む設計になっているのかもしれない。だが、その芯にあるのは確かに“宮宇のうなぎ”。名古屋の老舗の味を、銀座で。うなぎ好きにはたまらない一軒です。ご馳走様でした。 — 銀座うなぎノ宮宇050-5595-4624東京都中央区銀座5-11-12 日総第26ビル 2Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13304052/