2025.03.24 昼 天然酵母で生まれる、代官山の名物クロワッサン。@ヒルサイドパントリー 代官山 パン・サンドイッチ・ハンバーガー 渋谷・恵比寿・代官山 1000円〜2999円 ★★★☆☆ 代官山の坂を下りきった先、ヒルサイドテラスの一角に、パン好きが自然と足を向けてしまう場所がある。その名は『ヒルサイドパントリー 代官山』。パン屋という言葉では収まりきらない、デリやグロッサリー、ワインまで揃える“美味しいものの百貨店”。食のセレクトショップとも言えるこの場所には、丁寧な日常が詰まっている。 その象徴とも言えるのが「天然酵母クロワッサン」。創業以来のベストセラーだ。国産小麦を使い、外は香ばしくサクサク、中はもっちりとした食感。口に入れるとまずバターの香りがふわりと立ち上がり、噛むたびに小麦の甘さがじんわりと広がっていく。その色合いは、まるで素肌のようなきれいなベージュ。焼き色を強く出さず、香ばしさと優しさのバランスを追求した結果なのだろう。華美ではない、でも静かに主張してくるクロワッサンである。 甘党には「パンペルデュ」をすすめたい。フランスパンにアパレイユをしっかり染み込ませた本格派のフレンチトーストで、外はカリッと香ばしく、中はとろけるような食感。バニラと卵の香り、口いっぱいに広がるやさしい甘さ。見た目は素朴でも、食べた瞬間に「うまっ」と声が出てしまう。シンプルだからこそ、技術と感性が問われる一品だ。 惣菜パンの中で印象に残ったのが「サラミとバジル」。ピザのように仕上げた一枚で、ガーリックの効いた生地にジューシーなサラミとバジルが乗る。温めればサラミの脂がジュワッと溶け出し、生地に染み込み、旨味の波が押し寄せる。片手に収まるのに、満足感は両手いっぱいだ。 代官山という街の気分を、そのままパンにしたような場所。気取らず、でもセンスが良くて、どこか余裕がある。『ヒルサイドパントリー』は、そんな街の空気と共鳴しながら、美味しさを届けている。坂の途中でふと足を止めたくなるような、小さな幸せの場所。ご馳走様でした。 — ヒルサイドパントリー 代官山03-3496-6620東京都渋谷区猿楽町18-12 ヒルサイドテラスG棟 B1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1303/A130303/13002071/