これが立ち食い？石臼挽きの香る蕎麦。@甲斐そば

大森海岸駅から徒歩すぐ。線路沿いの路地に暖簾を掲げる『甲斐そば』を訪ねます。いわゆる“立ち食いそば”のカテゴリーに入る一軒だが、そのクオリティは立ち食いのレベルから一歩も二歩も先を行く。ここには、日常の中でふと立ち寄れる気軽さと、本格的なそばの香り高さが、見事に同居している。

そば粉は石臼挽き。手早く茹で、冷水でキュッと締められた「もりそば」は、しっかりとそばの香りが立つ。啜った瞬間に広がる蕎麦の風味、そして噛むほどに感じる甘みと力強さ。つゆは、すっきりとした出汁感にキリッとした返し。やや辛口寄りだが、石臼挽きのそばとのバランスがいい。飲み干すタイプのつゆではないが、そばを浸して啜るにはこの輪郭がちょうどいい。

そして天ぷら。揚げたてが出てくるのが嬉しいポイント。「春菊天」は香り高く、サクッと軽い衣が心地よい。丁寧に仕上げられている印象で、そばの風味を邪魔せず、引き立てる存在だ。

ついでに頼んだ「カツ丼」も、実直な味わいで印象に残る一杯。しっかりと煮込まれた玉ねぎの甘みと、玉子の火加減がちょうどよく、やや濃いめのタレがご飯を引き立てる。サイドではなく、ちゃんと主役級の満足感を持った一品だ。

早い、安い、うまい。よくある三拍子を軽く越えている、“ちゃんとうまい”がここにある。忙しい日の合間にふらりと寄って、こんなそばに出会えると、心までほぐれてくることだろう。ご馳走様です。

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甲斐そば
03-3298-1239
東京都品川区南大井3-33-6 ２階
https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131502/13095888/