2025.03.14 夜 殿様も楽しんだ、温かい鴨料理@鷹匠壽 焼肉・肉料理 上野・浅草・日暮里 10000円〜29999円 ★★★★☆ 浅草の夜、『鷹匠壽』へ。この店には何度も足を運んでいるが、今夜は料理だけでなく、その背景にある文化にも改めて魅了された。 鴨料理は食べ慣れているつもりだったが、歴史を知ると、味わいの感じ方が変わる。江戸時代、殿様たちは毒見の習慣ゆえに、普段は冷めた料理しか口にできなかった。しかし、唯一の例外が鷹狩りだった。獲れたばかりの鴨をその場で捌き、温かいまま食べる。それは彼らにとって、ただの食事ではなく、特別な楽しみでもあったという。そして、その名残が今も残るのが、大根おろしとともにする食べ方。冷ますための工夫が、やがて味わいの一部として受け継がれてきたとは——。何度も通っている店でも、こうした話を聞くと、新たな発見があるものだ。 料理もまた、その年ごとの違いを楽しめるのが面白い。昨年は不猟で合鴨も登場したが、今年は豊猟。米どころ新潟に渡来した天然鴨は、脂のキレがよく、味わいが澄んでいる。部位ごとに異なる火入れが施され、鴨というひとつの食材の中に、さまざまな個性が生まれる。一羽につき二本しか取れない「もも肉」にありつけたのは、幸運としか言いようがない。 そして、締めは「雑炊」。鴨の出汁をたっぷりと吸い込んだ米が、芯まで温めてくれる。何度食べても、最後の一口まで美味い。 馴染みの店でも、知識が深まると新たな魅力が見えてくる。料理を味わうだけでなく、歴史とともに楽しむのもまた一興。これだから通い続けてしまうのだ。ご馳走様でした。 — 鷹匠壽03-3841-4527東京都台東区雷門2-14-6https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13003661/