2025.03.12 昼 時空を超えた一杯、高井戸に現る。@塩そば 時空 ラーメン・つけめん 中野~西荻窪 1000円〜2999円 ★★★★☆ 高井戸のラーメン界に突如現れた行列店、『塩そば 時空』。 オープンは2023年8月。店主の和田正史氏がラーメン店を志したきっかけは、父の形見のバイクで旅した広島・三原市での出会い。瀬戸内の海を望むその地で、一杯の塩ラーメンに衝撃を受けたことが、この店の出発点になった。そこから独学とラーメン学校で技を磨き、ついに高井戸で自身の店を構える。時間と場所を超えた、まさに“時空”を感じるラーメンだ。 その名の通り、この店が提供するのは「塩そば」。だが、ただの塩ラーメンではない。スープを一口含むと、まず感じるのは塩気ではなく、出汁の存在感。動物系の食材を使わず、乾物のみで旨味を抽出したというスープは、驚くほど奥行きがあり、まるで和食の椀物のような上品な仕上がり。カドのないまろやかな塩味が、素材の旨味をじんわりと引き立てる。 麺は中細のストレート。ツルリとした喉越しと適度な弾力を持ち、咀嚼すると小麦の香りがふわりと広がる。麺線の整え方まで丁寧で、食べる前から職人の技を感じさせる。麺とスープが互いを邪魔することなく、調和の取れた一杯だ。 トッピングにも妥協がない。まず目を引くのは、3種類のチャーシュー。豚肩ロースの煮豚はしっとりとした肉質で、噛むほどに肉の旨味が広がる。さらに、大山鶏のチャーシューは低温調理で仕上げられ、しっとりとした食感と優しい味わい。そして、軟骨入りのつくねがまたいい仕事をしている。コリコリとした食感と濃厚な味わいが、スープの繊細さを引き立てる。そこにメンマ、白髪ネギ、カイワレが加わり、香りと食感のアクセントとなる。 平日でも1時間待ちの行列は、高井戸の新しい風物詩。訪れる際は、時間に余裕を持って並ぶべし。時間と空間を超えたラーメン体験が、ここにはある。ご馳走様でした。 — 塩そば 時空東京都杉並区高井戸東4-14-7https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131906/13287906/