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2025.03.06 夜

幻の宮廷レシピ、東京で辿るトルコの美食史@ブルガズ アダ

世界料理(アジア)

六本木・麻布・広尾

10000円〜29999円

★★★★☆

トルコ宮廷料理。

そんな希少なジャンルを日本で楽しめるのが、麻布十番に店を構える『ブルガズ アダ(BURGAZ ADA)』だ。店名は、トルコ・イスタンブール沖に浮かぶブルガズ島に由来するという。その地はかつて、オスマン帝国の貴族や知識人が別荘を構えた場所。そんなエレガンスを、この店は体現する。古の宮廷でふるまわれた料理が、現代に蘇る空間だ。

まずは、トルコの食文化について少しお勉強を。

トルコ料理は、世界三大料理のひとつとして数えられる。その背景には、遊牧民としての歴史が深く関係している。中央アジアから移動を繰り返す中で、東西の食文化が交わり、多様な調理法や食材の組み合わせが生まれた。さらに、シルクロードの交易によって各地からスパイスや食材がもたらされ、宮廷料理としても発展。加えて、国内の自給率は120%を誇るそうで、豊富な食材に恵まれていることも、トルコ料理の奥深さを支える要因となっているのでしょう。

そんなトルコの美食の真髄が詰まったコースが、こちら。

「アミューズ」
はじまりのひと口と題された最初の料理。揚げ茄子とヨーグルトソース、オリーブオイル煮にした蛍烏賊。ほのかに効いたスパイスがアクセントとなり、トルコ料理の扉を静かに開く。

「スープ」
15世紀の宮廷で愛された、チョルバ。いわゆるスープのことで、今回はアーモンドのポタージュだ。丸鶏と野菜をじっくり煮込み、ナツメグを効かせることで、奥行きのある味わいを生み出す。丁寧に濾されたスープは、滑らかな舌触りとともに、宮廷の贅沢を彷彿とさせる。現地でも今やほとんど知られていないという歴史の一杯。その貴重さもまた、この店の魅力だろう。

「前菜の盛り合わせ」
皇位の間の舞踏会と名付けられた前菜の盛り合わせ。4000種類もの宮廷レシピが存在するそうで、そこから至極の10種が登場。王族の健康維持のための料理が数多く残るのも、トルコ宮廷料理の特徴。例えば、三大オリーブ産地のひとつであるエーゲ海沿岸のオイルのみを使用したり、スパイスの調合にこだわったりと、美味しさだけでなく、身体にも優しいものが多いのだとか。ベピーアーティチョークはレモンのアクセントが効かせて、シガラボレッキはスパイス香るチーズを包んだ薄い生地の春巻き風、14世紀のオムレット、ホワイトマッシュルームのソテ、フムスなど、華やかな品々が並ぶ。

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「ケバブ」
ケバブといえば肉の塊を回転させながら焼くイメージだが、実は「串焼き」という意味を持つ。ここでのスペシャリテは、マリネして串焼きにしたホタテをレアな仕上がりで提供。ヨーグルト、ミント、パプリカのソースが絡み合い、深みのある味わいを作り出す。

「魚料理」
寒鰆の火入れが絶妙。ハーブでマリネした後、オーブンでじっくり焼き上げることで、外は香ばしく、中はふっくらと仕上がる。レモンや蜂蜜のソースが軽やかにまとめ、仕上げに添えられたフェンネルが爽やかな余韻を残す。

「口直し」
シェルベット。ノアの方舟が辿り着いたと言われるアララト山、その地で採れた氷にバラの香りを移した一品。トルコの歴史が、こうしたところにも息づいている。

「肉料理」
柔らかくジューシーな「スプリングラムチョップ」と、スパイス香る黒毛和牛イチボ挽肉の「キョフテ」を相盛りで提供。キョフテとは、トルコの伝統的なスパイスミートボール。スパイスとバターのソース、焦がしパプリカソースが、それぞれの旨味を一層引き立てる。

「スイーツ」
1つは、トルコの伝統的なライスプディングであるムハレビ。もう1つは、古くから伝わる宮廷スイーツのヘルワ。デザートにまで、トルコの歴史が息づいている。

ここは、単なるトルコ料理の店ではない。トルコ宮廷で君主たちだけが楽しんだ美食文化を、日本に居ながらにして追体験できる場所。歴史を味わい、異国の香りに包まれる。そんな唯一無二の体験ができる一軒だ。ご馳走様でした。

ブルガズ アダ
050-5571-1970
東京都港区麻布十番3-7-4 麻布六堂 3F
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13055381/

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