「おいしい」を、
すべての人に。

検索

2025.03.05 昼

最後の一口まで計算された、大阪カレーの名作。@橋本屋

カレー

大阪市

1000円〜2999円

★★★★☆

大阪・南船場の一角に、カレー好きが足繁く通う名店がある。その名は『橋本屋』。営業は平日の昼間のみ。それでも行列が絶えないのは、ここがただのカレー屋ではないからだ。注文は記帳式。まずは名前を書き、呼ばれるのを待つ。この時間すら、これから始まるスパイスのドラマをより濃密なものにする演出なのかもしれない。

登場するのは、土鍋にぐつぐつと煮えたぎるカレー。スパイスの香りが立ち上り、期待感が一気に膨らむ。まずはレンゲでその上澄みをすくい、一口。スパイスの刺激が鋭く響いたかと思えば、すぐに玉ねぎの甘みが後を追う。じっくり炒められた玉ねぎのコクが、スパイスの輪郭を際立たせ、余韻を長く引く。一口目で、すでにこの一杯の完成度が伝わってくる。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC0E61491.jpg

そして、本編へ。スパイスの熱を帯びたカレーをご飯にまとわせるように食べる。ここで、重要なのが「玉ねぎのピクルス」。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC061591.jpg

ご飯と一緒に頬張ると、甘酸っぱさが絶妙なコントラストを生み、スパイスの熱に清涼感を与えてくれる。重ねられた香りと味わいに、食べ進める手が止まらない。スパイスが支配する世界に、一瞬の爽やかさが差し込む。まるで物語の転換点を迎えたかのよう。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC061511.jpg

そして、クライマックスへ。カレーのルーを食べ終えた後に、温泉卵を崩し、余ったご飯とピクルスを投入。ここが、最後の仕掛けだ。ライスにカレーの残り香がまとわりつき、そこに温泉卵の黄身が絡むことで、新たな表情を見せる。スパイス、コク、酸味が折り重なり、これまでの味わいを包み込みながら、新たな余韻を残していく。最初から最後まで、完全に計算されたフィニッシュ。

『橋本屋』のチキンカレーは、ただ食べるだけではもったいない。口に運ぶごとに味の流れが変化し、一皿の中に幾重にも広がる物語がある。大阪のカレーシーンを牽引する一杯、ぜひ味わってみてほしい。ご馳走様でした。

橋本屋
大阪府大阪市中央区南船場2-2-21
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270201/27107555/

エリア

ジャンル

価格帯

評価

月別アーカイブ