2025.03.02 昼 歩みを止めない、アシェットデセールの最高峰。@Yama デザート 目黒・白金・五反田 10000円〜29999円 ★★★★★ 白金の静かな街角に佇むデザートレストラン『Yama』。 ミシュラン一つ星を獲得し、日本のアシェットデセール界を牽引する存在として知られる。過去の記事でも触れているが、その向上心は止まることを知らない。シェフ・勝俣孝一氏が手がけるコースは、単なる甘味の枠を超え、温度、食感、味覚を駆使しながら、一皿ごとにストーリーを紡ぐ。今回の主役は「苺」。あまおう、とちあいか、古都華の3種をメインに、定番の「絹」や「胡麻のアイス」、野菜を絡めながら、最後まで飽きることなく楽しませてくれる。 例えば「苺とカプレーゼ」。見た目は完全にカプレーゼなのに、グラニテがトマト、苺はまるで甘いフルーツトマトのような味わい。脳が混乱するほどの巧妙なバランス。 「苺のマリネ」は、外周だけに火入れし、中は生のまま。フランボワーズとピノ・ノワールのソースを纏い、深紅のシルエットが美しい。 「春のにがみ」は、菜の花と水と塩のみで仕上げた一品。出汁を使ったかのような旨味の凝縮度。抹茶椀で提供される演出も粋だ。 「せとかと喜界島柑橘の冬巻き」は、シークーで香り付けされたせとかがぎっしり。驚くべきは、中の柑橘に一切火を入れず、ピュアな風味をそのまま閉じ込めている点。 定番の「絹」は、もはや説明不要のスペシャリテ。驚くべきテクスチャーと甘みのバランスは健在。途中で黒トリュフオイルをかけることで、さらに奥深い味わいへと変化する。 「胡麻のアイス」は、胡麻の濃厚な風味が衝撃的な一皿。 さらには「初雪」。飴細工が雪のように繊細で、昨年よりもさらに進化。まるで本物の雪のような口溶けを実現するため、いくつものアプローチを試したという。その探求心には頭が下がる。 『Yama』がなぜ特別なのか。それは、単なるデザートレストランではなく、食の可能性を押し広げる挑戦の場であるからだ。白金という立地にありながら、ここには格式ばった空気はない。シェフの情熱と遊び心が詰まった一皿一皿が、訪れる者を魅了し続ける。名実ともにアシェットデセールのトップを走るこの店が、次にどんな驚きを見せてくれるのか。今後も目が離せない。ご馳走様でした。 — Yama東京都港区白金6-16-41 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1316/A131602/13279936/