2025.02.28 昼 旨味の二重構造。昆布とスープが織りなす絶品の一杯。@中華そば 髙野 ラーメン・つけめん 横浜市 1000円〜2999円 ★★★★★ JR大口駅から徒歩2分。開店前から行列ができる人気店『中華そば 髙野』。 2018年にオープンした、神奈川淡麗系のラーメンを牽引する一軒。店主の髙野さんは、美容師から飲食業界へ転身し、名店での修行を経て独立。さらに、農業にも携わった経験を持ち、食材選びに対する視点が鋭い。そんな異色の経歴が、この店のラーメンを唯一無二の存在へと押し上げている。麺のシルエットの美しさは、美容師出身というキャリアの賜物か。端正な盛り付け、整えられたビジュアルは、食べる前から一杯の完成度を物語ります。 「特製鶏つけそば」 この店の真髄とも言える一杯だ。まず、目を奪われるのが麺の存在感。中細のストレート麺が、黄金色の昆布水に浸されている。羅臼昆布など3種の昆布を2日間かけて水出しし、その旨味を麺に纏わせる。この昆布水の役割が実に面白い。まずはそのまま一口。冷水で締められた麺は、歯を押し返すほどのコシがあり、噛むほどに小麦の香りが広がる。そこに昆布の旨味がじんわりと重なり、味のレイヤーを形成する。 しかし、このつけそばの本領はここから。 つけ汁に潜らせれば、塩味と醤油の効いた濃厚スープが、昆布でコーティングされた麺をさらに包み込む。旨味の二重構造。この層を堪能するには、麺の強さが不可欠なのだろう。絶妙なバランス。動物系のコクに、爽やかな酸味が加わり、後味に軽やかさを生む。トッピングも秀逸。「特製」には、二種の鶏チャーシューが添えられる。厚みのあるムネ肉は、低温調理でしっとり仕上げられ、噛むごとに旨味が溢れる。一方、モモ肉はスパイスを効かせ、炙ることで香ばしさを引き出す。異なる食感と味わいのコントラストが、つけ麺の楽しさを引き立てる。 そして、和え玉。まず驚かされたのは、提供のタイミング。つけ麺を食べ終わる頃、絶妙なタイミングで運ばれてくる。流れを計算し尽くした提供スタイル。並のラーメン屋ではないことを、ここでも実感する。 『中華そば 髙野』は、単なるラーメン屋ではない。技術と美意識、そして食材への敬意が詰まった場所。その一杯を味わえば、なぜ行列ができるのかが、すぐに理解できるはずだ。ご馳走様でした。 — 中華そば 髙野045-717-9042神奈川県横浜市神奈川区大口通135-11https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140211/14071663/