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2025.02.23 夜

一本の串に込められた、鶏と向き合う哲学@鳥匠 いし井

焼鳥・焼きとん

大阪市

10000円〜29999円

★★★★★

焼鳥の概念を変える一軒、『鳥匠いし井』。

大阪・西天満に構え、日本屈指の焼鳥店へと登り詰めた名店だが、その進化は止まらない。焼きの技術を磨き続けるだけでなく、使用する鶏そのものにまで踏み込み、試行錯誤を繰り返す。天草大王、高坂鶏を経て、現在は「きさ輝地鶏」へと辿り着いた。その肉質、脂、弾力、旨味。そのすべてを知り尽くした職人が焼き上げる一本には、研究と挑戦の痕跡が刻まれている。

焼鳥は、素材が良ければ美味いのか?

否。技術と火入れが、そのポテンシャルをどこまで引き出せるかを決める。最初の「抱き身」で、それを思い知らされる。パリッと香ばしく焼き上げた皮、しっとりと柔らかい食感、噛むたびに滲み出る熟成された旨味。そして、その弾力こそが、脂を存分に楽しむための時間を作る。焼鳥は噛み締めるほどに、その本質が見えてくる。この弾力と旨みを最大化させるのが「きさ輝地鶏」というわけだ。

料理のラインナップはこちら。

「蒸し鶏のネギソース和え」
まずは前菜から。しっとりと仕上げられた蒸し鶏に、ネギの香りと甘みが絡む。シンプルだが、素材の良さと火入れの精妙さを感じさせる一品。

「茶碗蒸し」
焼鳥屋の茶碗蒸しと侮るなかれ。チキンコンソメのスープ仕立てで、鶏の旨味がダイレクトに押し寄せる。

「せせり」
弾力のある首肉。噛み締めるごとに旨味が湧き上がる。肉そのものの味わいの強さを堪能できる一本。

「はつ」
タレが美味い。いや、これはタレの力ではない。焼きの技術があるからこそ、タレが肉の甘みを引き出している。ぷりっとした食感と、内臓ならではの奥深い旨味がたまらない。

「大なめこ」
ここで野菜を挟む。これがまた美味い。

「砂肝」
コリっとした歯ごたえ。

「レバー」
ねっとりと濃厚。焼き加減が絶妙で、レア過ぎず、火を入れ過ぎず。舌の上でとろける。

「白レバー」
さらに濃密な旨味を持つ白レバー。フォアグラのようなクリーミーさが際立つ。余韻が長い、長すぎる。

「ソリレス」
弾力のある肉質と、脂のコクがダイレクトに伝わる。

「タンドリーチキン」
ここで遊び心を挟む。スパイスをまとった焼鳥は、異国の香りを漂わせる。

「つくね」
ふわっとした口当たり。タレの絡み具合も計算され尽くしている。

「ふりそで」
手羽元と胸肉の間の部位。ジューシーさとあっさり感のバランスが素晴らしい。

「むねすじ」
胸肉のイメージを覆す、コリコリした仕上がり。

「スモークチキン」
燻製の香りが鼻を抜ける。燻しの技術が、鶏の持つ旨味をより立体的にしている。

「かしわ」
やはり旨みの強さが特徴あり。

『鳥匠いし井』の焼鳥は、ただの串ではない。一本一本に、素材と技術、研究と挑戦の歴史が刻まれている。鶏の個性を最大限に引き出すために、素材そのものを見直し、養鶏場と共に育て上げる。その姿勢は、焼鳥を「単なる串焼き」ではなく、「究極の肉料理」へと昇華させている。この向上心が続く限り、店の未来はさらに広がっていくことだろう。ご馳走様でした。

鳥匠 いし井
06-7708-7864
大阪府大阪市北区西天満3-11-4 1F
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270103/27117938/

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