2025.01.03 夜 新春の京都で縁起をいただく。@ 杦 日本料理 京都市 30000円〜49999円 ★★★★☆ 京都五条柳馬場に佇む『杦(せん)』は、2018年に開かれた日本料理店。 店名の由来は、店主・杉澤健氏の姓「杉」の異字体「杦」と、修行先「和久傳(わくでん)」の「久」を組み合わせたものだとか。このネーミングセンスに、修行時代の恩義と自らの個性をしっかりと融合させる、店主の誠実さと意気込みを感じます。 杦の料理は、京都産の食材をふんだんに使用し、季節をきっちり切り取っていきます。1月上旬はもちろん新年の縁起を祝うテーマが溢れています。紅白の配色や金銀の装飾を取り入れ、見た目からも華やかさが伝わる品々。 その中には、常連客のリクエストから生まれたというフカヒレとすっぽん料理まで。日本料理としては珍しい試みですが、店主の人柄が垣間見える話でもあります。 料理のラインナップはこちら。 「白子の飯蒸し」京都らしさを象徴する根引松が登場。金と銀の装飾と永楽の器が、この一皿に新年らしい格式を添えます。 「御椀」白味噌仕立て。白甘鯛や亀甲型の海老芋、結び人参といった縁起の良い食材が盛り込まれ、視覚と味覚で祝福を楽しめます。 「御造」紅白を意識した鮪と天然河豚。4日寝かせたふぐはポン酢でさっぱり、鮪は小ぶりながら脂がのっており、一切れで満足感を得られる仕上がり。 「油物」河豚の唐揚げと伊勢海老の唐揚げ。カラスミがたっぷりと振りかけられた贅沢な逸品で、サクサクの衣が素材の旨味を引き立てます。 「八寸」巨大な晩白柚を器に使用するユーモアも。松葉蟹、車海老、京都の蒸し鮑などが並び、金箔をふりすぎた演出もお正月らしくご愛嬌。 「煮物」フカヒレとスッポン。とろみのある濃厚なスッポンスープが和食としても見事に仕上がっています。 選べるご飯ものはその種類に驚き。選択制と言いつつ、欲張って全部いただきました。笑 「白ご飯」シンプルながら、漬物の美味しさが際立つ。 「カキフライ丼」山椒のアクセントが効いた上品なソースかつ丼風。 「牛肉の玉じめ」柔らかい肉と海苔、とろとろ卵の組み合わせが絶妙。 「やなぎそば」香ばしい胡麻油が風味を高める一杯。 「鶏白湯ラーメン」胡椒の効いた濃厚なスープにエッジを作ります。 「炙り鯖寿司」香ばしさと旨味が鼻を抜ける逸品。 「海苔茶漬け」シンプルながら、出汁と海苔の風味が心地よい。 最後は「くわいもち」で締めくくり。これも縁起物の1つとして重宝される素材で、新しい年に芽が出るようにという願いが込められています。 素材の良さと繊細な技術、そして店主の遊び心とおもてなしの心が融合した特別な空間でした。新年を彩るのにふさわしい華やかな懐石料理。京都を訪れる際には、ぜひ立ち寄っていただきたい名店です。ご馳走様でした。 — 杦050-5589-8991京都府京都市下京区五条通柳馬場上ル塩竈町379https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26030495/