秋田県にかほ市。
仁賀保町、金浦町、象潟町の3つのが合併してできた自治体。山形との県境にある鳥海山の豊富な資源を利用した農業や日本海の豊かな漁業が盛んな地域。また、旧仁賀保町は世界有数の電子部品メーカーのTDKの城下町としても有名でございます。今回はそんなにかほ市にあるフレンチ『Remede nikaho (レメデニカホ)』をご紹介してまいりましょう。
創業は2018年。
古き良き時代に思いを巡らす、そんな風情のある建物が舞台。実は前述のTDKのゲストハウスとして使われていた場所を、縁あって譲り受けたそうだ。
”Remede”とは、自然の力で治癒するとか癒すという意味のフランス語。その空間には心が癒され、そして食事には体が癒される、そんなレストランになっております。食材はにかほ市をはじめとした秋田の食材にこだわったものばかり。これを使った料理は、温度やテクスチャーなど優しさを軸にしたような雰囲気で設計されております。
それではコースをご紹介してまいりましょう。
「比内地鶏/にかほの湧き水」
上品な旨味のコンソメスープだが、主役は湧き水。土地のポテンシャルを感じさせるスターター。
「比内地鶏/卵黄」
今度こそ、主役は比内地鶏。内臓などの風味もあるつくねをベニエのように仕上げたもの。卵黄のソースで。
「鰆/菊」
シュー生地の上には優しく火入れされた鰆のミキュイ。しっとりした身と香ばしさのある皮目のコントラストも楽しい。
「棒アナゴ/豚足/アマゾンカカオ」
棒アナゴは男鹿の珍味で、実はアナゴでも鰻でもないそうです。正式には、クロヌタウナギといって魚類ですらない深海生物だとか。これを天日干しにするとホルモンのような食感になるんだとか。その棒アナゴを豚足のゼラチンで煮凝りのように仕上げ、アマゾンカカオで作ったチュイールの中に挟み込んでおります。秋田の食文化と向き合った料理。
「カレイ/人参/九条ネギ」
近場の漁港で獲れたカレイのポワレ、人参を優しくふんわりガレットで包み込んだアミューズ。秋田で生産されているという九条ネギをソースに。優しい温度感とテクスチャーに癒されます。
「真鯛/ラディッシュ/セリ」
グラスに盛り付けた可愛らしい料理。主役である真鯛のマリネだが、一番下にある玉ねぎのババロアが味を引っ張り、四種のラディッシュは食感のバリエーションを作り、セリの根っこが香りを生み出す。なんとリッチな料理か。
「鱈/だだみ/モンドール」
優しい料理ばかりが続いたが、ここでパンチ力のある料理。緩急のつけ方もお見事。鱈、白子、じゃがいもを使ったブランダードで濃厚な味わいにほっぺたが落ちる勢い。白トリュフの芳醇な香りもここに加わります。
「自家製パン」
秋田の小麦粉である銀河のちからを使った自家製のパン。にかほは無花果の産地としても知られますが、これを煮詰めたものをバターに。
「太平山ポーク/白菜/黒酢」
秋田のブランド豚である太平山ポークをコンフィにして。八角などのスパイスに糸状にした春巻きの皮を散らすなど、どこか中華っぽいアウトプット。ただ、余韻の品の良さはやはり優しい印象を読後感に残します。
「ホロホロチョウ/海老」
ホロホロチョウは石巻産だが、ソースはきっちり秋田で仕上げます。赤海老の出汁とトマトを混ぜたものだそうで、その海老感の強さに驚きます。ホロホロチョウの火入れは秀逸で、ふっくらしっとりな仕上がり。皮のパリッと仕上げも良いアクセントに。これは美味い。
「かづの短角牛/パプリカ/柿」
最後は王道のフランチ仕込みのパイ包み。これがスペシャリテの位置付けだそうだ。中身は、秋田のブランド牛であるかづの短角牛、薩摩芋、パプリカ、椎茸など。やはり王道なマデラソースでいただきます。野生味のある国産の黒トリュフもしっかりアクセントになっております。
「ラ・フランス/栗/エスプレッソ」
ラ・フランスのコンポート、エスプレッソのアイス、和栗。
心と体を癒す、優しい秋田フレンチでございました。ご馳走様です。
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Remede nikaho
050-5595-2743
秋田県にかほ市平沢字家ノ後49-1
https://tabelog.com/akita/A0506/A050602/5008507/