日本の森を味わう。
これは山梨県の韮崎にあるレストラン『TSUSHIMI』のコンセプトだ。

その言葉にふさわしい森の中のポツンと建てられたモダンな空間が舞台になっております。1日1組15時スタートのみのレストランだが、この時間設定もまた憎い。昼から夕方、夕方から夜へと変わっていく景色が、食事を盛り上げる装置になっているのです。

主役は、山梨のテロワール。
食材は山梨県産の野菜を中心に、自家菜園のものまでここに参加しております。つまり、山梨のテロワールが主役。スペシャリテとして知られる「Noen」はその象徴だ。かつて、東京の神泉時代にもスペシャリテとして君臨してきたが、移転がさらに精度を高めております。料理には肉も魚も登場するのだが、どのお皿にあっても野菜を主役に押し上げる設計。

唯一無二のテロワールレストランのコース内容をご覧ください。
「森のアロマ(山梨 韮崎)」
自生している葉ばかりで作ったお茶。ちなみに、紹介のイラストもシェフによるもの多彩ですねぇ。

「ミズの実・金時草・香茸・松茸」
山奥深くの清廉な沢に自生するという貴重なミズの実はタルト仕立て。イカの塩辛やわたの燻製などとでいただきます。金時草は閖上の赤貝とともに登場。香茸はフリットで、松茸は自家製の生ハムや自家製の黒豆味噌とともに。いずれもきっちり素材が主役になっております。

「青トロ茄子(山梨 穂坂)」
夏よりも甘味を増すという秋の青トロ茄子と蟹の料理。蟹と茄子が見事に調和しており、それぞれの身も皮も味噌も外子も内子もしっかり個性を作ります。ソースには蟹味噌と焼き茄子の皮。特に蟹の味噌がアタックの印象を作りますが、余韻には茄子が伸びていきます。ハーブやパンプキンナッツなどが風味や食感に活躍するが、茄子の主役感が減退することはありません。これ好き。

「隼人瓜(山梨 双葉)」
お寿司に見立てた一皿。シャリを担うのが、隼人瓜だ。サクサクとした食感とくせのない味わいが特徴で、お寿司においてもその食感が活躍しております。味わいには南高梅とブランデーが参加して、ある意味で寿司的な酸味を作っております。ネタの部分には鯖で、やはりバルサミコ酢で締めたもの。塩気はオシェトラキャビアが担当。

「本シメジ(山梨 白州)」
香り松茸味しめじとはよく言ったもの。白子と相対してもその存在感をきっちり発揮しております。

「ビーツ(山梨 須玉)」
ボルシチのようなアウトプット。芋のような本体に、裏漉ししたソースに、茎の部分のピクルスといった形で、さまざまなテクスチャーで表現される。これに合わせる猪が絶品で、特に脂の旨みには悶絶です。

「焼きサラダ(広島 三原)」
唯一の県外の食材は、梶谷農園より。中央には、パンチェッタ、卵黄、チーズ、黒胡椒、、、そう、これはカルボナーラなのでございます。この中にあっても野菜たちの存在を強く認識できるのは、さすがの一言です。

ここから第二幕。
「Noen ver.2(山梨 他)」
小休止を挟んで登場したのは、TSUSHIMIが誇るスペシャリテ。野菜を主役に据える店のコンセプトそのもの。県産のものばかりで、80種以上の野菜が並べられております。野菜自体の多様性もあれば、生、蒸、揚、スープに発酵など調理法のバリエーションも楽しい。

「真菰竹(山梨 韮崎)」
二、三週間したチャンスがないという希少な真菰竹を使ったリゾット。貝の出汁が旨みを補完しておりますが、薪の香りが主役になっております。

「あけぼの大豆(山梨 身延)」
晩成につき、通常の大豆よりも大粒で糖度も高い大豆なんだとか。フリカッセで。甘鯛が端っこに追いやられてるのが面白い。笑

「Breadと山胡桃(山梨 韮崎)」
TSUSHIMIではパンは料理の1つとして提供されます。

「ホウキタケ 舞茸 クロカワ ハナイグチ アカハツタケ ショウゲンジ(山梨)」
メインは七谷鴨と木の子達。柚子胡椒もまた山梨県産という徹底っぷり。

「松の実(山梨 穂坂)」
チョコアイス

「無花果と白小豆(山梨 白州)」

ご馳走様でした。
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TSUSHIMI
山梨県韮崎市
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