全国の食通が押し寄せる、愛媛県松山市にある寿司店『くるますし』。今回はその人気の秘密に迫ってみましょう。地方の寿司店の強みとなる、地産の魚を中心に扱うところまでは想定内。だが、若き大将はこの想定を大幅に超えてまいります。その素材を深く深く追求し、そのポテンシャルを最大限に引き出すことに成功しております。
その手法は、ずばり引き算の極み。具体的には、ほとんど調味料に頼らぬスタイルを採用しており、引きば引くほどに素材のポテンシャルを浮き彫りにしております。もちろん素材のポテンシャルが高いからこそ為せる技だが、誤魔化しの効かぬアプローチはそれなりの苦労を重ねた結果でしょう。楽な方にいかない精神性にも恐れ入ります。これを実現するのに神経締めや血抜きまで自ら現地で行うこともあるというから驚きます。ちなみに、くるますしは創業1976年の老舗であり、現大将の高平康司氏は2代目として暖簾を守る人物。東京の三つ星「鮨よしたけ」で修行を重ねるなど、その技術の向上にも余念がない。
それでは、全国有数の海岸線を誇る愛媛県のポテンシャルの高さと、これを引き出す大将の技術と探究心が作り出すおまかせのコースをご覧に入れましょう。
つまみのラインナップはこちら。
「伊勢海老」高知より。9月から解禁されたばかりという伊勢海老。味噌を和えたソースとともに。
「伊勢海老出汁」調味料なしで何時間も煮詰めただけという。伊勢海老の持つ甲殻類ならではの旨みのみ。塩気も素材のミネラルが作ります。
「ヤイトハタ」愛南町より。今朝神経締めしたばかりという素材で、甘さと香りの良さはここでしか食べられぬレベル。
「赤雲丹」二神島より。殻付きのまま仕入れで自身で剥いてるんだとか。もちろん無添加で調味料なしなのに、とにかく味が濃い!鮑のエキスだけを冷やしてババロアのようなしたものを下に。同じ海藻を食べた仲間のコラボレーション。
「鮑」鮑の体液のみで6時間もかけて柔らかく煮たもの。肝ソースなどの風味に影響を与える海藻を食べた状態で出せるのは地元だけと胸をはります。
残った肝はシャリと。
「金目鯛」高知沖の金目鯛。藁で燻して炭で仕上げ。ステーキのように焼いて休ませてと火入れするそうだが、アウトプットはもはやミキュイ状態。
「モクズガニ」四万十川より。濃厚な味わいの出汁を利用した茶碗蒸し。これももちろん調味料はなし。
握りのラインナップはこちら。
「白甘鯛」八幡浜より。塩で締めて2日寝かせたもの。
「縞鯵」愛南町より。一度泳がせてストレスを抜いて神経締めにしたもの。生きたまま管理するってすごいな、、、
「イサキ」炭火で。
「剣先烏賊」朝どれ。
「血合いぎし」厚岸より。鮪だけは愛媛では難しいようだ。笑
「大トロ」
「渡り蟹」今治より。味噌の濃厚さも際立つが、身の甘さが一番の驚き。
「胡麻鯖」愛南町より。
「赤ムツ」徳島より。
「鮎の蒸し寿司」県内の小田川より。ソースは骨と内臓というサステナブルな一品。
「赤雲丹」
「穴子」笹の葉で蒸し焼きにしたもの。
「玉子」芝海老と大和芋で。
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くるますし
089-932-3689
愛媛県松山市一番町1-6-9
https://tabelog.com/ehime/A3801/A380101/38002524/