「おいしい」を、
すべての人に。

検索

2024.08.24 夜

長野の里山とタイ料理が出会った。@グート

世界料理(アジア)

南信州

10000円〜29999円

★★★★☆

長野県伊那谷にあるタイ料理店『グート (GUUUT)』を訪ねます。

単純なタイ料理ではなく、伊那谷の素材を駆使した里山料理であり、新しい解釈を加えたイノベーティブ料理の側面も持つ。ご主人は、かつて東京で和食のお店を営んでおり、その時に、地元の伊那谷で育てた野菜を使った漬物料理を通じて発酵に傾倒していったそうだ。やがて発酵を駆使するタイ料理へと導かれたんだとか。ちなみに、代表的な発酵料理である滋賀県の熟鮓のルーツは、魚を米と塩とニンニクで乳酸発酵させたプラーソムとされており、いかにタイが発酵料理が盛んなのかが伝わります。

それではさっそく料理をご紹介してまいりましょう。

「ブアボック」
素揚げした米粉の上にいは、ツボクサという和名を持つハーブ。ムエタイの選手が試合後に疲労回復や鎮痛を目的に飲むんだとか。唐辛子ベースの味付けも食欲を刺激することも含めて、実にスターターにぴったりなアミューズから。

「ヤム」
ヤムとは混ぜ合わせるという意味。炭焼きした玉蜀黍に、糖度の高い西瓜やレッドアマランサスなどを混ぜ合わせたもの。ナンプラーが作る甘酸っさと辛さが味の方向を決定付けます。青唐辛子がアクセントになっておりますが、これもとれたてほやほやのもの。辛さはあるが、すっとそれが引いていく、そんな素材になっております。

「ホーモック」
バナナの葉で包む蒸し料理で、魚のすり身とレッドカレーで下味をつけたもの。いわば、ココナッツミルクを使った茶碗蒸しといったところ。魚は長野県らしく虹鱒が担当しております。

「天龍牛」
同じ町内のブランド和牛、天龍牛の肩ロース。加工方法は、タイの少数民族のそれに倣う。塩、唐辛子、マクウェン(花椒)の粉をすりこみ、よもぎの葉で燻して干す。生ハムのようにスライスして、スパイスと塩気はそのままでも十分な満足感を作ります。だが、赤ピーマンのムースや枝豆のソースも参加させるなど余念がない。

「ナンプラー」
タイを代表する調味料のナンプラーの作り方そのものをヒントにした料理。ナンプラーとは、本来海の魚と米糠と塩で作られるが、地方によっては川魚を使うのだとか。もちろんグートではこれに倣う。10日ほど虹鱒を米糠でつけて発酵し、その上澄みにできたナンプラーと唐辛子で味付け。付け合わせには、糠漬けのズッキーニを参加させる。歴史や文化を料理するコンセプトレストランのようなアプローチ。

「カイチアオ」
タイ式のミックスオムレツ。タイの家庭料理をレストラン仕様にアップデート。自家製のネーム、発酵した豚肉のソーセージを包む。スイートチリソースもまた自家製。現地では砂糖をたっぷり使うが、この代わりに甘酒で甘味を補填しております。アクセントに、スパイスとハーブときかせて。

「ぎたろう軍鶏」
にんにくと生姜と胡麻をたっぷりの味噌で煮込んだもの。砂糖の甘さもあって、甘辛いソースになっております。これでコーティングされた軍鶏は、もはやジャンクフードと呼べるほど濃厚な味わいに。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 01401c7fa5385365801fa7877858a24af58ea36519.jpg

残ったタレは素麺で和えて最後まで綺麗に。こんなんうまいに決まってるやん!

「ゲーンソム・プラー」
酸味と辛味たっぷりのフィッシュカレー。玉葱のコクがたっぷりで、味付けにはニンニク、唐辛子、ターメリックが参加。下には空芯菜が敷き詰められており、これもスープの恩恵を受けます。

「ラープ」
ラープを再構築したイノベーティブなアプローチ。タイにおけるラープは、肉をミンチにして血と内臓とスパイスの混ぜることがあるそうだ。大胆あカットの単角牛に血のイメージをレッドアマランサスで表現し、ソースにはドクダミやセリなどで作る。サラダのエッセンスをこれで表現しているのでしょう。

「パンケーキとシャーベット」
パンケーキももちろん発酵料理。ただし、イースト菌ではなく米糠で作られたパンケーキ。もう1つは完熟苺のシャーベット。

ちなみに、”GUUUT”とは、生まれるという意味。伊那谷の食材とタイ料理が出会って、どんな料理が生まれるのか、ぜひご自身の目と舌で体験してみてください。ご馳走様でした。

グート
090-1541-0215
長野県上伊那郡箕輪町中箕輪542-1 古民家 箕澤屋
https://tabelog.com/nagano/A2006/A200601/20022280/

エリア

ジャンル

価格帯

評価

月別アーカイブ