豊かさとは何か?これまでのレストランシーンの豊かさとは、トリュフやキャビアなど世界中の稀少食材が並ぶことであったであろう。飽食の時代ってやつだ。だが、その反動もあってか、いま自然と共存することに豊かさを見出す動きもある。
例えば、いま注目を集めるローカルガストロノミーなどもその1つ。その土地に、その食材に、その料理にどんなストーリーが込められているか、これに思いを馳せることこそ豊かな行動なのではないかと。そんな気持ちにさせてくれたレストランをご紹介してまいりましょう。
『ヴィラ・アイーダ (Villa AiDA)』
アグリガストロノミーを標榜するレストランで、和歌山の岩出市の景色の中に溶け込む。アグリガストロノミーとは、農業と美食という意味のガストロノミーの造語。隣にある自らの畑で収穫した野菜を主役にした唯一無二のレストランとして高い評価を獲得。その世界的な評価こそが、豊かなレストランとは何かという定義の変化にも映ります。
率直に、野菜を主役に押し上げるプレゼンテーションが凄い。しかも、この猛暑の上に雨が降らなかったことで、野菜にとっても最も不利な状況であるというから驚く。メインには肉も魚も登場するが、やはり主役は野菜。野菜を中心にレストランはなくはないが、野菜をこれだけ崇高なレベルに引き上げるレストランはミトミえもんは知りません。
そろそろコースをいただいていきましょう。
「紫蘇ジュース」塩を周りにあしらったスノースタイル。。
「アミューズ」
茗荷とモロヘイヤのタルト、ピクルスのタルト、干瓢、自家製のドライトマト、ほおづき
「スイカ 赤紫蘇」
スイカのグラニテと赤紫蘇ジュレとトマトのスープ。ジュレが濃厚で美味すぎ。
「サザエ 苦瓜 ピーマン」
苦味を中心とした野菜達で、これをしっかり楽しませる。昆布茶のソースで旨味を補完。
「緑トマト オリーブオイル」
もっちりとしたライスヌードルがスープを楽しませる装置に。トマトの旨味とオリーブオイルの風味が美味。アクセントにはハラペーニョで辛味の刺激を。
「オクラ 茄子 リコッタ 烏賊」
オクラ、タイ茄子、烏賊にリコッタチーズのラビオリ。醤油の風味のあるソースと、赤バジルの風味が良いアクセント。
「じゃがいも バジリコ」
じゃがいものバジリコペーストのリングイネ。野菜の甘味がパスタをじっくりコーティング。
「茄子」
茄子をオーブンで1時間じっくり丸焼きしたもの。茄子の中にソースを入れているのが面白い。鬼灯のソースも添えて。
「マナガツオ 茄子 ピーマン」
柔らかくふんわりとしたマナガツオも美味しいが、やはり主役は野菜。特にスパイスを効かせたピーマンのソースが美味すぎる。モロヘイヤを揚げたものがいいアクセント。
「オクラ ホロホロ鶏 卵」
野菜同様に地元のホロホロ鶏でもも肉を使用。卵黄のソースにはサフランやオレガノが参加。パリッと焼いたホロホロ鶏が美味すぎる。脇を固めるオクラももちろん美味しい。
「名残」
名残の野菜を集めた締めサラダ。
「無花果菜 パッションフルーツ」
葉っぱのグラニテってのが面白い。
「桃」
和歌山の桃と薔薇の風味の組み合わせ。
ワインについてもほとんど自然派のワインを選択。その相性の良さからも抜群のセンスが伝わります。
野菜と野菜の調和、ワインと野菜の調和、野菜と我々との調和、その全てが調和していくレストラン。そんな豊かなアプローチは、未来のレストランがお手本にすべき姿なのかもしれません。ご馳走様でした。
—
ヴィラ・アイーダ
0736-63-2227
和歌山県岩出市川尻71-5
https://tabelog.com/wakayama/A3001/A300102/30000104/