2005年創業のイタリアン『ラ・プリマ・ヴォルタ (La Prima Vorta)』を訪ねます。
古い屋敷を改装した実に雰囲気のある空間で迎えてくれます。ゴ・エ・ミヨにも掲載されている実力店であり、自然と期待感が高まってまいります。その最大のセールスポイントは、ずばり高知のテロワール。高知県は清流に育まれた山の幸に川の幸、そして鰹に代表される海の幸など、実に魅力に富んだ土地。それでは、高知の魅力と高い技術を掛け算した料理をご紹介してまいりましょう。
コースは、四国の自然の豊かさを証明するかのようなアミューズから始まる。食材ばかりでなく、器として利用される石や珊瑚や木は全てスタッフの皆さんが歩いて集めたもの。都心にあって自然が近いことを伝えてくれます。
「本日の一口」
珊瑚の上には、高知でりゅうきゅうと呼ばれる蓮芋の茎の部分の穴に、ブッシュカンと貝出汁の塩気を詰めたもの。ライスペーパーで包んだお米のサラダ。石の上には、むき身にした冷製。レモングラスなどのハーブを味付けに参加させ、隠し味にしたナンプラーがオリエンタルなら雰囲気を作ります。木の上には、もちもちとした蕎麦粉のガレットにモロヘイヤ、オクラ、ピーマンなどのタルタルや蒸し鮑を重ねます。野草のすべりひゆやカレーリーフの香りを強く印象づけます。
「米茄子 山崎さんの無花果」
焼き浸しにした米茄子に、漬けにした鮪。茄子の油の風味を含んだアッタクから始まり、漬けにある青唐辛子のニュアンスが余韻を担当しております。もう1つの主役である無花果は、木の上で完熟させるというこだわりの代物。身に葉のオイルにマスタードにと縦横無尽に活躍。オレガノのピリッと感も加えたものが最高に美味。その他、アーモンドミルク、蜂蜜、黒ニンニク、バルサミコ酢などで何とも立体的な設計になっております。
「アホ・プランコ 雲丹 落花生」
スペインの伝統的なスープ料理で、アーモンドやニンニクを使った白の冷製。ここに北海道の雲丹が参加。他にも小さくカットした、ゴーヤや青リンゴなども参加しているが、これがスプーンですくうたびに表情を変えてくれます。
「天然鮎【物部川】 猪【梅原】」
鮎と猪の組み合わせは意外だが、2つをジビエと捉えて調和させる。さらには、バターや実山椒と絡んだ薩摩芋のマッシュルーム、鰹節を少し加えた黒ビールのソースなども参加するが、これで抜群のバランスを見つけているのがすごい。
「メロン 青紫蘇 グリーンレモン」
大葉のソルベにニューメロンをレモンでマリネした果肉。ジュレは涼しげにミントやレモングラスを。夏にも口直しにもぴったりな一皿。
「土佐和牛フィレ肉 クスクス ロメスコ」
高知県産の備長炭で火入れ。しっとりとした、いやしっとりすぎるアウトプット。そのまま塩だけで食べてもじっくりと旨い。だが、この料理のテーマの1つはスパイス。スパイスと一緒に火入れしたクスクスなどが味にバリエーションを作っております。これはコースのハイライトとなるべき料理。美味い。
「自家製オレキエッテ 枝豆 サマートリュフ」
耳たぶ型のパスタであるオレキエッテはもちもち食感。甘味の強い枝豆にパルミジャーノやマスカルポーネのチーズがコクを足し、キノコのコンソメが旨味を補完しております。トリュフの香りも。
「小菓子とお茶(デラウェア・山北ミカン)」
デラウェアと白味噌のクッキーと、山北ミカンを使ったイタリアの伝統菓子のカンノーリ。
「エスプレッソ パッションフルーツ」
高知県夜須の甘味の強いパッションフルーツ。コーヒーのジェラートとライチのリキュールのエスプーマ。
「フィナンシェ 基石茶(大豊町)」
高知県の基石茶を使った焼き菓子。
いやぁ、素晴らしいコースでございました。料理だけでなく、提供のテンポ感や全てのスタッフの教育レベルなど、レストランとしての完成度が高いお店。ぜひ高知にお越しの際はお立ち寄りください。ご馳走様でした。
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ラ・プリマ・ヴォルタ
088-885-7041
高知県高知市はりまや町2-10-1
https://tabelog.com/kochi/A3901/A390101/39004068/