2024.07.12 夜 若き大将が目指す、寿し道とは?@寿し道 桜田 寿司 名古屋市 30000円〜49999円 ★★★★☆ 名古屋を代表する寿司店『寿し道 桜田』を訪ねます。 オープンから5年余りで、全国トップクラスの評価を獲得した寿司店。大将の太田雄斗氏が同店をオープンさせたのは20代の時。若さも手伝ってかオープン当初は劇場型の演出に重きを置いていたそうですが、現在はその名残を感じさせません。強いて言うならば、一番最初に切りたての赤酢のシャリにわさびを乗せて、海苔で巻いて食べさせるということくらい。 ただし、これはシャリへのこだわりや自信のプレゼンテーションであり、劇場化することを目的としていない。これに象徴されるように、1つ1つに深くこだわりを持つことが彼の”寿し道”なのでしょう。そのこだわりの1つが、名古屋前への想い。銀座の名店「久兵衛」や「鮨とかみ」などで学んだ基礎の上に、独自の個性を構築している。全国から厳選された食材を扱うが、しっかり地元のネタもコースに組み込む。また、酢は東海地区のものばかりをブレンドしたり、米も愛知、わさびは岐阜など思い入れは強い。もちろん締めの玉子焼きなどは名古屋コーチンだ。この個性こそが演出を捨てられた自信につながっているのでしょう。まずはつまみから。「玉蜀黍のすり流し」愛知県産 にっこりコーン 「コチ」知多産。神経締めのコチを10日熟成。 「鯵」知多の風間水産より。3日熟成。 「渡り蟹」秋田の潤菜と合わせて 「海鰻」白焼にて。厚みがあり、それに比例するような強い旨み。青唐醤油で。 「鮑」出汁で伸ばした肝ソースとともに。 ここから握り。シャリは小ぶりだが、硬めの炊き方が十分な存在感を作ります。冒頭のシャリでは赤酢の酸がしっかりと効いていましたが、時間の経過とともに変化していくのが面白い。きっとネタの合わせ方もその酸を意識して設計しているのでしょう。「中トロ」戸井産。仕入れはやま幸より。 「本アラ」新潟より。 「アオリイカ」風間水産より。 「縞鯵」 「のどぐろ」宮城産。脂のノリの強さよ。 「車海老」 「大トロ」 「赤身漬け」 「車海老煎餅」握りの海老の殻を使って。こんなところにも名古屋らしさ。 「雲丹」天草より。旨みが強い。厚みのある 「穴子」 「トロたく」 「新子」 「甘味」 最後に。実はこの場所は、ニューヨークに移転した名店「寿しの吉乃」の跡地。直接の弟子筋などではないが、吉乃の大将から物件を引き継がないか打診を受けたそうだ。大切な場所を譲る相手、きっと技術も人柄も認めるところにあったのでしょう。だが、実は大将がここで握る期間はあとわずか。本年中に移転が決定しているそうだ。桜田さんの移転先はもちろんのこと、新しく出世部屋に入居するお店にも是非期待しておこう。ご馳走様でした。 — 寿し道 桜田052-951-8757愛知県名古屋市中区丸の内3-10-29https://tabelog.com/aichi/A2301/A230103/23070288/