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2022.11.24 夜

その声は静かだが、心に大きく響く。@赤坂 詠月

日本料理

赤坂・永田町・溜池

30000円〜49999円

★★★★☆

赤坂にある日本料理店『詠月』へ。赤坂の繁華街にあり、スナックやバーが軒を連ねるビルに店を構える。その雑然とした雰囲気が、静かにひっそりとした佇まいを更に際立たせているようだ。月を詠むという文字には、自然のままに季節の移ろいに全てを預けるという意志が込められる。食材にリスペクトがあり、料理は実にシンプルに作り上げる。

その象徴とも言えるのがこの海老芋だろう。8時間以上かけて煮たものだそうで、ねっとりとした粘りのある口当たりからは、素材の持つ甘味がじっくりと広がっていきます。この逸品は京都時代に覚えた料理なのだそうだが、確かにそのニュアンスを感じさせます。

ちなみに、ご主人の岩﨑秀範氏は、都内の日本料理店から京都の料理店や料理旅館を経て、2010年に独立を果たしている。女将さんとは旅館で出会ったのだとか。二人の柔らかく心地良い接客に合点がいきます。

この時期のメインディッシュといえば蟹。コースの料金は非常にリーズナブルで通常なら2万円、蟹をたっぷり含んだコースでも3万円という金額設定。

黄色タグの越前蟹を焼いて、味噌と一緒にいただき、

更には香箱ガニまで。どれもやはりシンプルなアプローチであり、素材そのもののポテンシャルを感じさせます。

ちなみに、これは心臓。くらげのような雰囲気なのですね。面白い。

ご主人の経歴には続きがある。なんとご主人は現役の大学生、しかも、かの東京藝術大学に通っているそうだ。芸大に料理の学部を作るという意気込みで入学をしたそうだが、その志の高さにも行動力にも驚くばかり。自分だけでなく後進のためにも行動できる、ミトミえもんもそういう人間になりたいと襟を正します。その声は静かだが、心に大きく響く。

その他、料理のラインナップはこちら。

「先付」雲子。甘味と塩気のバランスの出汁と共に。素材の濃厚な味わいにさっそく日本酒を投入。

「御碗」北寄貝の真薯のすまし仕立て。出汁は実に優しいタッチ。それが北寄貝の風味を際立たせます。引き算の美学。

「向付」鯛(明石)、かます(三重)、牡丹海老(北海道)、塩水雲丹

「焼物」本ししゃもの雄と雌の食べ比べ。卵たっぷりの雌に軍配。食べ手の経験値の上がるのが嬉しい。

「寿司」余市のあん肝と醤油漬けの生いくらの組み合わせ。

「蒸物」のどぐろと白菜の蒸物。いい意味で脂が落ちて上品な仕上がり。白菜が主役と言っていいほど甘味あり。

「食事」鹿児島牛の6種類の木の子の炊き込みご飯。やはり脂を落とす方向性であり、じっくりと美味い。

「水菓子」柿とシャインマスカット

「菓子」どら焼き

赤坂 詠月
03-6277-6293
東京都港区赤坂3-11-7 ソシアル赤坂ビル 4F
https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13116523/

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