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2022.06.22 夜

【公開不可】南麻布にひっそりとオープンした鮨店がある。

ひっそりと紹介したが、実にひっそりとオープンしている。だって、ここは会員制だから。しかも、その仕組みが面白い。スタッフはサービススタッフばかりで鮨職人はいない。鮨の名店で腕を磨く職人、爪を研ぎ続けるフリーの職人、地方から東京での活躍を夢見る職人、彼らが日替わりで握る鮨店なのだ。そして、彼らの目指す方向性は、店の名前にも込められる。『NIGIRI』、鮨の”握り”を通じて、人間関係の”握り”も目指す店なのだ。

それを象徴するように店のカウンターにはオンカワラのアートが飾られる。中央の日付はNIGIRIのオープン日。そして、左右には過去と未来の日付が並ぶ。温故知新、過去に学び、そして未来に挑戦する。そう、ここは寿司業界の未来を担う若者たちの舞台だ。そして、彼らは、食べ手と作り手はもちろん、お客様同士も握手するような場所を目指す。そして、アートが示す年度は1989年、平成から昭和へと変わった時代。なんて、新しい挑戦を志す鮨店にふさわしい年なのでしょう。

6月22日、その記念すべきオープン日にお邪魔しております。

カウンターに立つのは26歳の若者。新橋にあった会員制の鮨店で握った経験を持ち、現在は独立店舗の開業を目指してフリーで活動中とのこと。場所がなければ彼らは活躍の場はないのだから、さっそく同店のコンセプトが体現されているといっていい。実際、この日のメンバーはこの若者を気に入り、これからも応援するよとポジティブな言葉が並んでおりました。

未来へと一歩を踏み出した職人の料理は?

つまみは、食感とか風味を独自に解釈したアプローチが面白い。例えば、モウカザメの心臓。肉の内臓のような食感と上手に利用し、胡麻油と肉料理のような味わいを実現。江戸前にはないアプローチは若さならでは。握りはまだまだ成長の余地あり。シャリは米酢で柔らかめなアウトプット。ネタが上手に処理できているのに、どうもシャリとのバランスに不一致が。少しもったりした印象があるので、酸を立てるか固めに炊くか、どこかにメリハリが欲しかった。

繰り返しになるが、ここは完成した店ではない。成長の伸び代自体がもうコンテンツなのだ。また違う舞台で彼に会った時、どんな成長を遂げたかを酒のツマミにさせていただきます。ご馳走様でした。

つまみのラインナップはこちら。

「地蛤」穴子のツメと柚子の香りで。

「蛸、鰹、生しらす」

「モウカザメの心臓」胡麻油と。

「のどぐろ丼」毛蟹の餡で。

握りのラインナップはこちら。

「鯵」

「アオリイカ」銚子

「生鯖」

「赤身」塩釜

「金目鯛」銚子

「北寄貝」長万部

「甘海老」北海道

「中トロ」

「赤雲丹」

「お吸い物」蛤出汁

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