閑静な住宅街に暖簾を掲げる『京 上賀茂 御料理秋山』、場所はもちろん京都の上賀茂にございます。築80年の古民家を改装したそうで、静かな街並みにそっと寄り添うようにそこに存在しております。
到着すると囲炉裏のある個室にご案内。ゆったりと流れる時間をしみじみと感じながらびわの葉茶を一服。元気に鳴り響く蝉の声が季節を感じさせます。
衝撃のコスパ!
店主の秋山氏、吉兆で長きに渡って腕を磨いた料理人。出自が確かな料理人であれば最近は金額設定も強気なものだが、彼の金額設定には驚くばかり。品数が多く、比例して仕事の量も多いコース設計。後ほど全ての料理を紹介したいが、これだけのボリュームを持って1万円台という驚くばかり。いわゆる高級食材やピンの素材に頼らず、名店で学んだ技術で勝負しているということでしょう。そして、ぼっち飯のミトミえもんに対しての適度なコミュニケーションも好感度が高い。
食材の歩留まりを意識してか、同じ食材が登場することも多いが、そこは技術で軽々とカバーしております。むしろ、食材のいろんな可能性が見れて楽しい。それでは、超弩級のコスパディナーのレビューをご覧ください。
「酢の物」野菜達による彩り豊かな一品。適度な酸味で野菜達を楽しむ。中でもお気に入りだったのは賀茂茄子で、動物系の旨味かと思うほどに濃い味わいを作り上げております。
「赤紫蘇ジュース」カクテルのような色鮮やかな一品の正体は赤紫蘇エキス。柴漬けもまた塩気がバッチリだが、紫蘇の風味とダブルで強さを作ります。
「お椀」井原西鶴曰く、女性が好むのは”芋、蛸、南京” 。これらを全て組み合わせたお椀。古典から料理を発想するアプローチも京都らしくて面白い。ちなみに、器には京都五山送り火のシルエット。この近くの山こそが現場なんだそう。味はもちろんだが、古典や文化などを同時に感じられることが感慨深い。
「お造り」鱸、烏賊、蛸、鯖。明石を中心の仕入れ。脂たっぷりの鯖が優勝。
「雲丹」由良の雲丹。
「太刀魚」塩と山椒で。
「黒米のお粥」定番料理の、いわゆるスペシャリテ。主役がシンプルだというのが逆に好き。ほんのり甘いお粥の中には季節のとうもろこし。とろみが優しく口の中を包み込み、本当にしみじみと美味い。
「八寸」鯛と蛸とモロヘイヤと土佐酢がけ、万願寺唐辛子ととうもろこし味噌、パイナップルとちんすこうの白和え。
「岩牡蠣」天然の巨大な岩牡蠣がジューシーで、油の風味もしっかり調味に加わります。胡瓜の酢でバランス。
「鱒」琵琶湖産。
「焼鯖素麺」お隣の滋賀県長浜の料理を参考。鯖出汁のスープに、胡麻醤油の漬け込んだ鯖の組み合わせ。本場ではぬるい温度帯なんだとか。伝統料理をアップデート。
「豚肉のトマト鍋」オクラ、空芯菜、とろろなどのネバネバ食材が活躍。葛などではなくて、食材で作っているのが好感度が高い。豚肉自体も果物の廃棄を食べさせたものを使うなど、サステナブルを意識しているような料理。きっとそんな言葉が流行る前から実践しているのでしょう。
「食事」シンプルな白飯
「水菓子」
「グレープフルーツと苺寄せ」ここにも大の文字が!
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京 上賀茂 御料理秋山
075-711-5136
京都府京都市北区上賀茂岡本町58
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260503/26002511/