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2021.05.02 夜

料理を知りたくばシェフの経歴を追え。@L’EAU

フレンチ

原宿・表参道・青山

10000円〜29999円

★★★★☆

外苑前にあるフランス料理店『L’EAU(ロー)』。

青山通りを入った通り沿いにあり、地下の店舗にはスタイリッシュな空間が広がる。料理の方向性を理解するのに、まずはシェフの経歴を読み解いていきましょう。これが一番の近道というもの。学生時代はグラフィックデザインを学んだそうで、内装や料理の美しさがここに反映されているかのようです。彼がデザインするのは目に見えるものばかりでなく、コンセプトそのものをデザイン。コンセプトの中心に据えたのは「水」。ちなみに、”L’EAU”とはフランス語で水を意味する言葉だそうです。美しい自然を料理で再現し、美しい世界観をプレートの上で作り上げます。

象徴とも言えるのが、「水 葉 土 樹」と題したアミューズ。

水(左下)の担当は蛤のスープ。みずみずしさでいっぱいのアウトプットで、蛤の旨味が味わいの強さをしっかり担保しております。水は海、あおさ海苔の磯の風味も”水”らしさを強調します。葉は、ハーブのサラダ。こちらの旨味は鱈、ブランダードが担当。土はコロッケ、豚とじゃがいも、パセリが風味とともにこれをコーティングしております。木はどんぐり、に見えるフォアグラのテリーヌにカカオバターを合わせます。見た目だけでなく、それぞれのテーマと食材をきっちりリンクさせております。

ちなみにもう1つのアミューズは緑の中心に据えられたスープ。動物系の味わいが強いコンソメスープだが、これはこの日の食材を全て使ったというサステナブルなもの。食材を無駄にしないアプローチは、自然そのものへのリスペクトや感謝を感じさせます。

ここから続いていくコース。特に前半部の料理に実力の高さを感じました。立体的な味の組み立てが非常にうまいのだ。2018年創業と若いお店ながら、完成度の高さもやはりシェフの経歴が説明してくれる。東長崎のフレンチの名店「レストランセビアン」のシェフを父に持ち、都内のイタリアンなどで腕を磨いた後に父の店でシェフを15年も務めた経験を持つ。ぜひ、センス抜群のシェフが贈る美しい料理達をお楽しみください。

「桜鱒 根セロリ」
桜鱒を荏胡麻と生ハムで巻いた一品。荏胡麻のアクセントというか刺激が最高。まぶしたピスタチオ、細切りの根セロリ、ホエーの酸味などが味あわいの幅を作ります。岩魚の卵なんかもいいアクセントに。

「横山さんの鰻 菊芋」
鰻の白焼きと金目鯛に切り身。菊芋のピュレが甘味を作り、桜のチップのスモークが燻製香、酢漬けの独活が酸味を、桜鱒の料理と同様に、味に奥行きがあり、それでいてバランスがいいというもの。センスの良さは見た目のデザインばかりでなく、味を立体的に構成するのがお得意のよう。

「すっぽん 足赤海老」
すっぽんはミンチに、海老はムースに。海老の頭の出汁をミルクでのばしたというソースの濃厚さに悶絶。付け合わせはアスパラだが、3種も食べ比べたのは初めての経験。グリーンアスパラガスを炭火で、ホワイトアスパラガスをピュレに、アスパラソバージュをフリットに。

「クエ 蛍烏賊」
一週間寝かせたクエに蛍烏賊のソース。蛍烏賊はお隣でビリヤニとしても活躍。少々見づらいが、透明なものが盛り付けられているのが見えますね。これはなんとポテトチップなんです!

「紀州鴨 蕗の薹」
ムネとモモの食べ比べ。ソースはフォンドボーと実山椒。蕗の薹の上には蕗の薹の天かす。

「鬼灯 アプリコット」
右にはアプリコットのジェラート。左にはアプリコットのゼリーと鬼灯と鬼灯ジャムの組み合わせ。nomaの料理のような美しいシルエット。

「米麹 ヨーグルト」
白で統一された美しいデザート。麹のジェラート、ヨーグルトは、のばして凍らせて。

「苔 緑 茸」

L’EAU
03-5843-0140
東京都港区南青山2-14-14 南青山KFKビル B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13228902/

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