肉や魚は脇役、主役は野菜。東京都目黒区の駒場、松見坂の交差点の近くにユニークなレストランがある。名前は『TSU・SHI・MI』、由来はシェフのお名前である都志見氏から。彼の料理の主役は「野菜」、だが、ベジタリアンとは全く異なるアプローチ。肉や魚も大胆に駆使して、野菜の魅力を最大化しているのが特徴です。また、今でこそ産直は一般的になったが、生産者と向き合う素材へのこだわりは先駆者といっても言い過ぎではない。その証拠というわけではないが、引っ張りだこの梶谷農園の野菜やハーブを使い始めるのはとても早かったそうです。そんな1日1組限定の野菜のコースを、ぜひお楽しみください。

スペシャリテはもちろん、、、
メニューを見れば改めて野菜のこだわりは明白。メニューはすべて野菜の名前で表現されております。魚や肉を使ったメニューにおいても野菜の方だけが表記されております。また、お皿をサーブするときも必ず手前を陣取るのは野菜だ。普段の”付け合わせ”としての位置づけではないのです。

そんなツシミのスペシャリテを務めるのはもちろん野菜で「Noen」と名付けられ、その横には日付が書き加えられております。そう、つまりスペシャリテは日本を大地そのものを農園に見立てた本日の一皿なのです。なんて色鮮やかな一皿なのでしょう!料理法を1つ1つ変えており、気が遠くなるような作業ですね。

これだけの野菜と触れ合えること自体が素晴らしい食体験だが、少々歩留まりが気になるところ。それと対になるのだ最初の料理である「大地の茶」。様々な端野菜を出汁として生まれ変わらせております。素晴らしい。

その他の料理のご紹介。
「紅大根」えっ、マグロの寿司!?シャリに見立てのは紅大根。米の甘味ではなく、大根の甘味。酢の代わりに、梅の酸味。これらが脂たっぷりのマグロと抜群の相性を作り上げます。マグロの脂が紅大根のシャリの調味料になっております。

「白子筍(合馬産)」アクが全くなくお刺身の域。野菜そのものが持つ旨味がじっくりと感じられます。素材そのもの静かな旨味から、キャビア、木の芽のペースト、蛍烏賊などの動きのある旨味が余韻に広がります。静から動へ、そんな旨味の動きを感じる一品でした。

「ふきのとう」カナッペに、フリットに、ペーストに、様々な蕗の薹の表情が重ねられます。桜鯛の白子などはあくまでソースの役割で、カレー風味のスパイスや黒トリュフはアクセントとして蕗の薹を支えます。

「ケール」いわゆる蛤の白ワイン蒸しのような一品だが、あくまで主役はケール。日本とアメリカのケールの素材違い、ペースト、揚げ物、オイルというアウトプット違いを楽しませます。料理には塩を使っていないが、蛤の塩気がケールの調味を担います。やはり蛤はケールを楽しむための脇役なのです。

「琉球冬瓜」焼き冬瓜、味噌とマスタードとオリーブオイルで3時間焼いたもの。水分を多く含む野菜の魅力を損なわず、脂の乗った肉や魚に負けぬジューシーな味わい。更なるインパクトのために、鮑と一緒に煮込むことで味を移します。仕事を終えた鮑も再度バターで味を戻すなど、食材を無駄にせぬアプローチも。

「根セロリ」根セロリと牡蠣が相互扶助。根セロリのソースを牡蠣がつとめ、牡蠣の肝フライのソースを根セロリのタルタルが担います。主従が入れ替わる面白さ!

「小麦と米」小麦、餅米、黒米を使ったパンに甘酒と塩とバターを乗せる。もう自然の恵みのフレンチトーストといった感じで、特に甘酒が担う風味がもうたまりません。さらにペアリングにはアルコールを飛ばした日本酒を合わせるのですが、この相性は言葉にならぬほど。お隣のヨーグルトとクリームチーズをつけてもまた絶品。コースの中でパンは提供されないぶん、逆にこの素晴らしさが際立ちます。拍手。

「子持ち高菜」普通であればメインの魚の位置づけ。子持ち高菜のしっかりした食感が、まるでステーキのような満足感を。甘鯛にはその脂を相性バッチリなフェンネルやライムなどのハーブ達が活躍します。

「ヤーコン」普通であればメインの肉の位置づけ。根菜であるヤーコンは、ピュレ、揚げ物、ペースト。肉は二週間ドライエージングをかけたもので旨味がたっぷり。ソースのレベルも秀逸で、さすがにこれは脇役とは呼べません。単純なフレンチ技術の高さを証明するかのような一皿。美味しい!

「不知火」ブランド名そのままが料理名に。ここでも様々な方法で素材の表情を見せてくれます。サヴァイヨンスープ、メレンゲ、一夜干し、ゼリー、マカロンといった感じで。

「カニステル」南国のフルーツなんですって。芋のようなイメージに近く、甘い芋を食べたときの幸福感をいただきました。

「駒場の宝箱」もうすでに野菜というお宝をいっぱいゲットしておりますが、最後は宝箱につめたデセール達。もちろん、野菜やフルーツの存在はその中にも詰められております。

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TSU・SHI・MI
東京都目黒区駒場1-16-9 片桐ビル 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131801/13121317/