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2019.12.26 夜

イノベーティブであっても”温かみ”を忘れぬ料理。@SHOKUDO YArn

世界料理(ヨーロッパ)

石川

10000円〜29999円

★★★★★

”縦の糸はあなた 横の糸はわたし 織りなす布はいつか誰かを 暖めうるかもしれない”言わずと知れた中島みゆきさんの名曲「糸」の一節。結婚式の定番ソングで、ミスチルの桜井さんがカバーしたこと注目された曲。思わず涙してしまう感動を呼ぶ名曲でございます。

話がいきなり脱線しましたが、石川県の小松市にも多くの人々を感動させる”糸”がある。もともと撚糸業が盛んな町だったそうだが、その撚糸工場をリノベーションしたレストランがある。名前は『SHÓKUDŌ YArn(ショクドー ヤーン)』、”yarn”とは撚り糸という意味だ。3本の糸を撚って1本の糸を作り上げていくのだが、ダブルシェフである米田夫婦と我々が一緒になって作り上げていきたいという想いが込められている。ちなみに、YとAだけ大文字で表記されますが、地元で出会ったご主人の裕二さんと奥様の亜佐美さんのイニシャルだそうです。あのぉ、そこに僕たちはいる隙間ありますか?笑 ただただ素敵です。

もう少しご夫婦のことについて。ご夫婦揃ってスペインのエルブジにて研修を体験。言わずと知れた世界を席巻した「分子ガストロノミー」の生みの親。料理を科学的なアプローチで捉え、次々に新しい技術を作り、世界を驚かせたレストランでございます。科学というと少し冷たい印象がありますが、ここで学んだシェフ二人の作り上げる世界には”温度”があるのが特徴。扉を開いた瞬間に飛び込んでくる大きなオリーブの木の温かみ、撚糸工場で働いた人々の当時の温度、地元への愛情、そしてどこで修行するときも行動を共にしたご夫婦の愛に心が温まります。中島みゆきさんの言うよに、糸が織りなすものは誰かを暖めてくれるようです。

そして、もう1つ体温が上がる仕掛けが用意されております。それはずばり「笑い」、メニューの多くがダジャレになっているのです。笑 人は笑うと体温が上がるそうですよ。ちなみに、ダジャレの担当は旦那さん。ダジャレはいつだって男のものだ。笑 メニューからどんな料理かを想像しながら、謎解きしながらディナーを楽しんで下さい。シェフ達のそんな気持ちを邪魔しないように、細かい料理の説明の一切をやめておきます。ご自分でその意図を探ってみてください。糸だけに。

さすがに何も伝わらないといけないので一品だけご紹介。
「バブルガニシスターズ」

バブルガニブラザーズを文字ったダジャレ。糸というこれといい世代がバレますね。笑 北陸が誇る蟹をメインにした料理だが、もちろん普通の蟹料理ではない。まるで蟹が泡を吹いているようだが、この泡はコシヒカリの米酢とジンジャエールで作られる。蟹と酢の組み合わせは一般的だが、分子調理の技術を使った、新しい形を体現しています。しかも可愛く。泡が作る酸味、辛さ、爽やかさがソースとして機能しております。地元の食材や文化、分子調理を学んだ技術、ほっこりするアウトプット、”yarn”の料理を象徴するような一品でございます。

SHOKUDO YArn
0761-58-1058
石川県小松市吉竹町1-37-1
https://tabelog.com/ishikawa/A1702/A170202/17009741/

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