海のない県の寿司は美味しいのか?埼玉県までは美味しい寿司店の存在を確認済みだが、今度はもっと奥の北関東までやってきました。ここに食通達を唸らせるという店があるというのだ。ということで、本日は群馬県の館林の『鮨おばな』を伺います。
洗練されたモダンな建築。もともとは町の寿司屋だったそうですが、その面影もすでにありません。寿司職人としては大将は二代目だが、この境地にたどり着いたのは彼の向上心の賜物であります。右も左もわからない時分から築地に顔を出し続け、知識を深め人間関係を構築していったのだそう。ただ、ここは群馬です。なんと最低でも週に二回は築地に「始発」で訪ねていたんだとか!無名だからこそ、どこよりも良いネタが必要だと考えたそうです。
その努力はもちろん結果につながっている。東京から食通達が訪ねていくことが1つの証拠だが、ミトミえもん自身の舌でも実感させていただきました。例えば、蒸し鮑。これは三陸の蝦夷鮑なのだそうだが、自身の味の強さにびっくり。しかもこれが煮切り酒しか使っていないのだとか!築地で時間がたっても素材の良さがキープできたものだけを選んでいるそうです。残り物には福があるということでしょうか。もしかしたら群馬だからこそ見つけた法則なのかもしれませんね。
鹿児島産の出水の「蛸」でも同じ印象。これもただ揉んでいるだけ。もちろんそこに技術が隠れているのでしょうが、その素材の良さは間違いはなさそうです。
淡路と大原の「鯛」の食べ比べでは、素材によって皮を残すか判断するなど、素材の本質を見抜いてその良さを引き出そうという意志を感じます。
もちろん握りにおいても素材の良さは伝わる。
この時期マグロにとってはいい季節ではないが、「赤身」の脂が十分に回っていてびっくり。これ金目鯛とか食べてるんですって!
はえ縄の「背トロ」も背中部分とは思えないほど、柔らかくふわふわな食感です。
これに続く、「カマ下」や
「砂ずり」部分のマグロ達のどれもが素晴らしい状態にありました。
誤解がないようにお伝えしたいが、もちろん素材にだけ頼っているわけではありません。ここ「おばな」でしか食べられないオリジナリティーをしっかり兼ね備えております。まず紹介したいのは「カイワレ大根」。普通なら辛くて食べれないものを昆布締めで仕上げ。これによってカイワレ大根のいい部分のみが残るような印象です。
次に「海老丼」。これはアメリケーヌソースからヒントを得たもので、10年間も継ぎ足しているのだとか。海老自体の風味に追い鰹ならぬ、力強い追い海老がインパクトを残します。
そして、最後は「いくら」!と言いたいところだが、これは時期が外れて食べられず。これは誰もが驚くユニークネスを持っているそうなので、次回の宿題にしたいと思います。
つまみと握り、メモ。
「蛍烏賊」スチームで蒸したもの
「鰆」たたき。4キロ
「牡丹海老」ねっとりと甘い
「煮帆立」表面だけ火入れして漬け込む
「太刀魚」竹岡産。2キロアップ
「茶碗蒸し」
「牡丹海老の味噌」
「白川」
「赤貝」閖上産
「小肌」しっかり寝かす
「墨烏賊」海苔を間に挟む。その風味と酢橘が烏賊の旨味を引き出します。
「春子鯛」湯霜、ふっくらと寝かしたもの
「生トリガイ」
「鰊」
「鰆の漬け」3日ほど寝かしたもの。芥子のアクセントがたまらない。
「鯵」
「ミルガイ」
「紫雲丹」羽立の雲丹
「雲丹」
「穴子」かなり香ばしい。これも独特なアウトプット。
「蛤」鹿島産
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鮨おばな
0276-72-1604
群馬県館林市大手町5-1
https://tabelog.com/gunma/A1002/A100204/10002097/