東の「カンテサンス」と西の「ハジメ」。東西の三ツ星フレンチで学んだ葛原将季シェフがサラブレッドすぎます。東大のお父さんと京大のお母さんから生まれたようなもの。この遺伝子には期待感を抱かざるをえない。30歳という若さで名古屋にオープンした『レミニセンス』で本日のディナーをいただきます。
シェフの出身地であることもあるが、東西の文化の融合地点である名古屋にオープンしたことは必然だったのだろう。そして、彼は貪欲に名古屋の文化をも吸収している。なんて最高峰のフレンチで修行した後、最後に学んだのが「あつた蓬莱軒」。なんと鰻屋である。
ここから生まれたのが「レミニセンス」のスペシャリテ。三河一色産の「鰻の白焼き」である。ふっくらした焼き上がりに炭火の香ばしさは鰻店のそれ。だが、ここからが葛原シェフのオリジナリティー。フレンチで最も重要であるソースによって、きっちりフレンチへと昇華させているのだ。
1つは燻製した根セロリのピュレ。この燻製香が信じられないほど白焼きとの相性が抜群です。これを使ったうな丼の店があったら絶対並びます。そのほか、マスタードのクリームや山椒をベースにしたスパイスなど豊富なバリエーションで鰻を楽しむことができます。
店名である「レミニセンス」とは、その直後よりも一定時間が経ってからのほうが明確に思い出せることを指す。確かに白焼きの食感と燻製の香りは今でも明確に思い出せます。テーマにしている「余韻と記憶」を体現するのにあまりあるスペシャリテに仕上がってます。まだ残る鰻の余韻が素晴らしい記憶として残っております。
記憶といえば、最後の茶菓子も面白い。まさに子供の頃の記憶を呼び起こす菓子が並びます。雪見だいふく、プッチンプリンなどが並ぶと、無条件に笑顔になってしまいますね。
その他の記憶に残った料理もご紹介。
「鱒」
火入れの技術はカンテサンス譲りだろうか、38度の火入れで実現したしっとりした「鱒」の食感は素晴らしいの一言。味の変化を楽しませるために、ハーブのリキュールと合わせたトマトのソース、レモン、ウイキョウなど様々な表情をみせてくれる。キャベツや菜の花のソテーが彩りを加えるなど、一皿の完成度が高い。
火入れの技術はメインの「甘鯛の鱗焼き」「小鳩」からも伝わってきます。
「トリップ」
牛の胃袋(トリップ)や銀杏、舞茸を香ばしくソテーし、仕上げに香りのいいコンソメをいれたスープ。器も上に絞るような形で香りを閉じ込める意図を感じます。味はもちろんですが、香りを楽しませてくれるスープです。
「白子」
こちらも香りがいい。今度はトリュフの香り。ただ主役はあくまでも白子。衣をつけて食感を加えたり、ゆずのクリームで味のアクセントを、下仁田ねぎで彩りのアクセントを加えたりと一皿で感じる幅が広い。
「フォアグラ」
フォアグラのテリーヌにキャラメリゼした玉ねぎチップスを重ねます。野菜の甘みもしっかり感じられる。これが味にも食感にも素晴らしいアクセントをつくる。やはり一皿の完成度が高いのだが、ペアリングも印象的。甘口の貴腐ワインであるシャトー・ディケムとの相性が抜群。
その他、メモ。
「羅臼産の生雲丹」
「りんごのシャーベット」
「蜜柑」
「苺」
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レミニセンス
052-228-8337
愛知県名古屋市中区栄2-15-16 コンフォート栄 2F
https://tabelog.com/aichi/A2301/A230105/23057000/