土地に根差した料理が好きだ。新鮮だったりと物理的なメリットももちろんだが、地元への愛や誇り、土地への感謝や尊敬が感じられるからだ。特に地方にあっては、土地に根差した料理を楽しみたいと思ってます。少なくともそこにストーリーを感じたいと思ってます。何でも手に入る東京にあっては中々難しい要望だと思っていたが、それが覆りました。
オープンからたった4ヶ月でミシュランを獲得した浅草の新店『ナベノイズム』。名店のロブションで研鑽を積んだ技術に「浅草」というキーワードを加えた料理が並ぶ。隅田川のほとりで浅草とフレンチの融合を楽しむ、これがナベノイズムの料理だ。土地に根ざした料理といっていいだろう。
前菜から「大心堂」の雷おこしや「種亀」の最中などの地元の菓子とのコラボが繰り広げられる。そこに、クリームチーズ、黒トリュフ、ブラックオリーブなど洋の素材と握手をさせるのが面白い。ナベノイズムの紋を意識した盛り付けの前菜が挨拶代わりです。全体的に食感があるので咀嚼で楽しむことができます。
地元とのつがなりはまだ続く。「そばがき」が登場するのだが、これも両国の「江戸蕎麦ほそ川」の蕎麦粉を使用。口当たりは滑らか、昆布出汁で作ったゼリーが香りを閉じ込めます。フレンチとの握手を感じさせるのが、キャビアの上の山葵。和洋折衷とは言葉では簡単だが、大変な想像力と研究が必要でしょう。
浅草とのつながりで笑ったのは牛ほほ肉を使ったメイン。浅草の景色の一部になっている金色のオブジェが有名な、アサヒビールを使っているのだそうです。ロブション時代はエビスだったんですって。笑
シェフのスペシャリテもいただきました。山口県産の「甘鯛のうろこ焼き」。香ばしく焼かれた甘鯛でソースは鶏の出汁がベース。コクのある甘みを玉ねぎが生み、ホクホクな食感を百合根が生む。極め付けは樹齢100年をこえるという枯木ゆず。年齢に比例するのか強い清涼感が全体を引っ張ります。組み合わせの妙はシェフの得意技のようだ。
個人的に一番のお気に入りはこのメニュー。
「ラングスティーヌ、鶏のハツ、リーフマウンテンエッグと共にココット仕立て サルディーニャ島のパスタ フレゴラと雪下縮みほうれん草を添えて」。言葉だけではどんな料理かイメージが湧きません。笑 天使の海老の頭から味噌まで全てからとった出汁に温泉玉子が浮かべられ、パルメザンチーズがコクを、黒トリュフが香りを、黒胡椒が刺激をつくる。これだけ準備された中でのフレゴラがまずいはずがない。
どうやら渡辺シェフのイズムは、ミトミえもんの好みの主義のようだ。
その他、食事メモ。
「江戸伝統野菜とフランス伝統食材の融合、
千住葱とフランスぺリゴール産黒トリュフ、活帆立貝のコンフィ、広島県かなわ水産牡蠣のパテ」
「フォアグラのV.C.C焼き、バッハコーヒーの粗挽き仕上げ バンビデスのクーリ
ポルトルージュのカプチーノ、黒豆、ピスタチオ、針生姜とのハーモノー」
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ナベノ-イズム
03-5246-4056
東京都台東区駒形2-1-17
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13194700/