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2017.01.24 夜

江戸料理をご存知ですか?@日本料理 たかむら

日本料理

秋田市

10000円〜29999円

★★★★★

かれこれ東京に住んで18年。上京したのが18歳のときだから人生の半分以上を東京で過ごしたことになるが、それでも江戸料理というジャンルは聞いたことがない。それもそのはず、江戸料理の店は東京にはない。(江戸料理を語る店はあるが) 

本物の江戸料理を食べれるのはなんと秋田県。降り積もった雪が化粧となり素敵な趣で迎えてくれた。店の名前は「たかむら」。目白の伝説の江戸料理の店「太古八」で腕を磨いた高村氏がご主人。唯一の江戸料理と呼ばれた太古八の4代目の肩書きは江戸料理の継承者である証拠。板長まで任された男は屋号に太古八を使わず、江戸料理を知らない地元で勝負。いまでは地元だけでなく東京からも客が押し寄せる店として有名だ。

八寸から始まり江戸料理らしさを茶碗蒸しで堪能。地元秋田の白神山地のネギと毛蟹の餡をのせた茶碗蒸し。糖度は15度を越えるそうだ。これは砂糖水のレベルである。江戸料理はその素材をきっちり生かすのが特徴。調味料には砂糖を用いずに甘さは食材そのものの力を引き出すもの。まさに江戸料理といえます。この甘さとコントラストを作るように、一度真っ黒になるまで焼いたネギの中身だけをミキサーしてその香ばしさを出汁に移します。茶碗蒸しには気泡が入っているそうで、甘さと香ばしさが入り込んでいきます。

鮮度が高く質の良い魚介類を使うことも江戸料理の特徴。小肌の握りを提供するが、生に近い食感の朝〆だ。真ハタ、ヤリイカ、本マグロの刺身はすべて秋田産。このことは同時に新鮮であることを説明してくれます。合わせる塩も男鹿の海水からとったもの。秋田自体を楽しませてくれます。

そして最大の江戸料理の特徴は、料理法に独自の発想があり遊び心が富んでいること。いま流行りのイノベーティブ料理の走りは江戸料理なのです!料理の技術の高さは百合根饅頭が証明する。なんとつなぎ無しで100%百合根で成型。野菜をテーマにした百合根饅頭に葛でつけたとろみと自家製の梅がアクセントになる。

焼き物の比内地鶏。この料理は秋田が江戸料理と出会った結果だ。色んな部位を混ぜてたたき、昆布出汁と浅葱を中心に据える。優しい出汁と比内地鶏の脂が最高のコラボレーションを見せてくれます。これは比内地鶏の新しい食べ方だ。しこあもこの比内地鶏はたかむら用に育ったものというのだから何もいうことはない。 

秋田と江戸料理の出会いは止まらない。秋田のズワイガニを使ったクリームコロッケの登場。実はこれ「太古八」のスペシャリテ。ほくほくのジャガイモかと思いきや、これがマッシュルームなんですと!これほど旨味を感じられるほくほくは食べたことがない。なぜクリーミーな仕上げじゃないのかを問えば、とろんと皿に中身が溢れるのは粋じゃないからと。これも江戸料理らしさですね。 

最後のデザートもクリエイティブ。今っぽい料理かと思いきや、豆腐を寒天で包む料理「氷豆腐」は豆腐百珍という江戸時代のレシピに載っているそう。ただ、江戸のレシピは分量などの表記がないそうで、結果いまの料理人のクリエイティブ力が必要ということですね。 

先にデザートの話にいってしまったが、クライマックスは「熊」の鍋。秋田県産の椎茸や比内地鶏の出汁がたまりません。一番出汁を使うのもこだわりで、味がきりっとしてます。ちなみにこの熊は銀座に移転した「しのはら」さんが手配したそうです。 

どうだったろうか?
日本料理=京料理という構図が当たり前となっているが、江戸料理は間違いなく日本料理だ。この江戸料理がいま秋田でしか食べられないというのがなんとも面白い。高村氏が進む道が江戸料理の進む道。このジャンルの進む未来はこれからも是非注目していきたい。 

その他、食事メモ。

・日本酒のつまみセット(とらふぐの白子、あさりと春菊のよせ、鯵、黄韮、鮟肝)。笑

・鰆ご飯 

日本料理 たかむら
018-866-8288
秋田県秋田市大町1-7-31
https://tabelog.com/akita/A0501/A050101/5000664/

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