ペルーは食の国。多くの美食家がこう語ります。世界で注目される料理に昇華した男、その名は「ガストン・アクリオ」氏。ペルー料理店「Astrid & Gastón」のシェフであり、数々の賞を総なめにしている。しかも貧しい子供のための料理学校を作り、一流シェフとして世界に送り込む。社会貢献というか、料理で真剣に国を変えようとしているのだ。
このGastónで修行した日本人をご存知ですか?
太田哲雄シェフ。「Gastón」での修行だけでなく、スペインの最高峰である三ツ星レストラン「El Bulli」、ミラノでのプライベートシェフなどその経験は凄まじい。柔和な表情、柔らかい口調からは想像できない。料理という言語だけで世界を渡り歩いてきたのだろう。

おそらく引き出しの数は多いのだろう。今日は引き出しの1つ「ペルー料理」。ちなみに、店は持たずにキッチンがあればどこでも料理をするというスタンス。日本において、なお旅人のようなお人です。本日は銀座の某所で料理を振舞っていただきました。
ペルー料理は日本人に馴染みがない。自身も新橋の「荒井商店」のランチをいただいたくらい。本格ペルー料理に期待が膨らみます。
ペルー料理「セビーチャ」魚介のマリネというイメージですよね。移住した日本人が酢の物を食べたくて作った説があるのだとか。それだけ日本人の味覚に合うものなのでしょう。意外にも馴染みが深いようです。
まずは、「ペルー風魚介のセビーチェ」いきなり豪快にきました。南米へタイムトラベル!

スミイカ、帆立、タイラガイ、スズキ、雲丹。南米の素材もふんだんに使っているそうです。ナンプラーのような癖のある味付けがマッチ。高価なイタリア豆なども仕様しているようで、まさにシェフの自己紹介のようです。ちなみに、虎の乳と呼ばれているそうで、このマリネ液は様々な料理に生かせるそうです。僕らが煮汁を再利用するような感覚ですかね。
続いて「ムール貝のセビーチェ」

水産資源が豊富なところも日本に似てますね!生の白とうもろこしの甘さがアクセントになっています。苦味のある清涼感も心地いい。
まだまだセビーチェ祭り。「鶏のセビーチェ」肉でもセビーチェっていうんですね。とはいえ軽く煮込んではいるようだ。

赤どりに柑橘(オレンジ)の味が足される。世界の見聞、やはり面白いですね~。
「ペルー風白身魚のパニーニ」サンドウィッチやハンバーガーのようなものをイメージしてほしい。はさみこむのは白身魚のふりっと。ペルー風フィレオフィッシュ!

ふわふわで風味のあるパンは『Fermentation』の茂木恵実子氏作。さらに、クリームのようなマスタードソースはあのガストン・アクリオ氏直伝!

これファストフードで売り出したいな~。太田さんレシピ教えてくれないかな~。めちゃくちゃうまい!!
通常の軽食を極限まで引きあげる、スタンスとしては最も共感できる方向性ですね。背伸びする必要がありません。これぞ太田マジック!
「ペル–風マッシュポテト・カウサ」まるでデザートのように美しいカウサ。これこそガストンのスペシャリテ。

北海道のきたあかりを使用。ペースト状の唐辛子とレモンを使ってマッシュポテトにアクセントつくっています。上の食材を変えていくだけで無限に料理が出来上がります。今回のアボカドなどは、女性も喜びそうですね!原宿あたりでカウサ専門店やろうかな。色んなビジネスプランが浮かんできます。しつこいけどレシピ教えてくれないかな~。
メインを飾るのは「乾燥じゃがいもと豚の煮込み」

南米らしい豪快な肉料理登場!3、4種類の乾燥ジャガイモを使用。なんとペルーには3000種類以上のジャガイモがあるそうです。比例するように調理法も様々。本日は豚肉とともに煮込み料理でいただいました。唐辛子のピリッとしたアクセントがいいですね。
楽しい会もいよいよ終焉。「アマゾンのカカオ」を使ったデザートがテーブルに届きます。

鼻血が出そうなほど濃厚で、まるでカカオのスープのよう。そうそう、はじめて塊で見せていただきました。アマゾンのキャパシティ恐るべし。

ちなみにペルーの国土の半分はアマゾンなんですって。まだまだ未知の食材や調理法が見つかるのでしょう。太田シェフの飽くなき探究心があれば、また我々のテーブルを賑やかになることは間違いない。底の知れない太田シェフ。次の機会に取材したいと思います。