「刑事は足だ」なんて言いますが、お鮨屋さんも足が大事。日本全国ご自分の足でまわり、目でみて仕入れを行っているそうです。こういう方々であれば自分の胃袋を安心して預けられます。『とも樹』。変わった経歴を持つご主人のお名前から。サラリーマンであれば珍しい話ではないですが、ご主人のとも樹さんは大学卒。職人の世界では不利に動くことも多いそうです。兄弟子が年下ですもんね。

銀座の『奈可田』や『鮨さゝ木』という名店で修行。ご苦労もあったのでしょうね。チェーン店で働くことも真面目に検討したそうです。
さっそく、足で稼いだお通しから。
・天然のめかぶ(淡路島)
こんなに歯ごたえがあり、磯の塩の香と素材そのものの甘さを感じたのは初めて。元気に育ったのでしょう。東京では唯一の仕入れだそうです。足はウソをつかないですね。

・中トロ(房州)
・アオリイカ

・マコガレイ

次は取り急ぎのにぎり3巻。胃にお米いれないとね。中トロは季節じゃないとか理解できないレベルの肉厚さと脂。旬のおありいかはねっとりしていて舌に味がまとわりつく。マコガレイは、昆布締めらしい味だが酸味が多少強すぎるかな。
・マコガレイ(刺身)

・雲丹(唐津)とカラスミの創作寿司

・シャコ(神奈川小柴と青森の食べ比べ)

刺身のマコガレイは昨日〆たそうで、熟成されて味がでてくる。こっちの勝ち。雲丹とカラスミの足し算は発見。ウニだけでも旨いのに贅沢です。シャコは超高級の小柴産。シャコって苦手な方だけど、甘味すら感じてもはや好物の域。青森さんは卵付。初めての出会いでしたが、しっかりした味なんですね。
・トリガイ(刺身)

・毛ガニ

・天然鰻(焼き)

・ミルガイ(串)

さっそく本日の一番かも。叩くと起き上がったトリガイは繊維が非常に美しく、素材の香りの良さが何ともいえない。大将も一番おススメといっていて偶然の一致に喜ぶ。毛ガニのボリュームと蟹酢をあしらった花穂の香りづけが秀逸。鰻の身の強さ、ミルガイの七味よる味付け。色んな刺激が楽しい。
・ミルガイ(握り)

・漬(握り)

・しろぎそ?(これ初めてで知らない名前。透明さが美しい)

・春子鯛

・煮はまぐり

・車海老

・海老の味噌

・穴子

・ねぎとろ巻き

・玉子焼き

気に入ったのは「春子鯛」「あなご」。春子鯛には、鯖のバッテラのように昆布のフィルムをかぶせる。酸味が増すが途中でのさっぱり感は大歓迎。穴子は天辺です。旬の6月の前、一足先に最高級を堪能。凡庸な言葉ですが、とろけるってやつです。脂がすごい!その他、煮はまぐりの柚子や車海老の素材の良さはメモしておきたい。
椀とほうずきで口直し。

デザートにはデラウェア。素材を足で見つける努力、江戸前を尊重しつつオリジナルへの挑戦。『とも樹』での体験は人生観の上でも勉強になりました。

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木挽町 とも樹
03-5550-3401
東京都中央区銀座4-12-2
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13040702/