人形町グルメを語る上で外せない。伝統の味を守り抜く江戸前鮨の重鎮。
老舗の風格漂う日本家屋は、昭和27年より内装含めてほとんど変化せずに、人形町で歴史を刻んでおります。創業は同タイミングではなく、大正(12年)までさかのぼり、江戸前鮨三代始祖といわれる華家與兵衛の流れをくんでいるそうです。
これだけ格の高い店。無謀にも直前予約の暴挙。ラッキーなことに一席のみの空席。
L字型のカウンターには3人の板前が仁王立ち。それぞれ目の前のお客に目配りしております。正面左から三代目油井隆一氏、右にも油井氏。きっと彼は跡継ぎなのでしょう。おいらは、間に立つお弟子さんに握っていただきます。
カウンターは白木で大理石のような重厚な黒石にネタを並べます。レビュアーさんの写真でも気になってましたが、なんともいえない重みが演出されます。
さっそくアサヒビールを片手に湯葉のお通しをいただいて、お刺身から食事を開始します。
【お刺身】
・小鯛…関西では雀鮨とも言うそうです。皮が特徴的で炙っているかのような食感。
・赤貝…やわらかさが抜群。
・ひらめ…
・メカジキ…柔らかく、口の中で溶け込む。
【つまみ】
◎肝…平目の肝を初体験。あん肝と比較しても濃厚な味わい。日本酒にぴったり。
◎穴子…塩とタレで悩んでると半分づつ提供できるとのこと。24時間体制で煮たというフワフワな食感と香ばしい味わい。天然の塩、甘いタレも甲乙つけがたい。
大根のたまり漬けを挟んで、いよいよ握りをいただきます。お酒はビールから熱燗(菊正宗)に既にうつっております。
【握り】
◎ぶり…中トロ並の脂分。
◎まぐろ(大間産)ひれ…めちゃくちゃ肉厚。甘い。
・スミイカ…歯切れがいい。厚みと反比例する歯応えに口の中がパニック。
◎トロ…筋が柔らかい。見た目にも崩れ落ちそうな柔らかさ。
・ホタテ
・馬糞ウニ
・皮付きのべったら漬け…小休止
◎小肌…酢が後から追いかけてきます。身もしっかり。
○煮ハマグリ、九十九里産。この時期身がしっかりするそうで甘めのタレといつまでも口の中に滞在してます。
・玉子…しっかりした卵焼き。白身とえび入りで江戸前らしい隠し味の宝庫
・干瓢…甘い。総じて煮込みのレベルが高い。
ネギとゆずの上品な汁をいただいて終了。ご馳走様でした。
魚はすべて天然ものだそうで、酢飯は米酢と酒粕から作った赤酢に塩のみを使用。砂糖はいっさい使ってないそうで、握り自体はすっきりした味わいでネタを邪魔しない。その分か煮物は甘めの味付けでトータルのバランスがいい。
金額はもちろん安くはないですが、いい意味で敷居は低く一見にもとても居心地がいい。人形町に新入りのおいらにも色々教えたくださいます。おこがましくも常連になりたいご近所店のひとつとなりました。
ちなみに、『きずし』の「き」は「喜」という字。喜寿の七十七からとった字です。おいらの喜寿まで、4代目、5代目と末永く歴史を刻んでいただきたいです。
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喜寿司
03-3666-1682
東京都中央区日本橋人形町2-7-13
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13003041/